肉牛基金協会、持続可能な肉用牛生産に関するパンフレットを刷新、協会サイトの内容も充実化、9月22日にオンライン情報交換会も開催
(一社)全国肉用牛振興基金協会(森山裕会長)はこのほど、今年度の「持続的肉用牛生産関連情報発信事業」(2022年度~2023年度)の取組みとして、畜産関係者に向け普及パンフレット(A5サイズ)を作成した。
会員などを通じて現場関係者などへ配布、肉用牛生産の基本が牛を大切に飼うこと、地球環境にも優しい肉用牛生産が求められている点について理解と関心を深めてもらうことがねらい。協会のウェブサイトでも「持続可能な肉用牛生産」に関するコンテンツを充実させ、業界関係者だけでなく、一般消費者にも正しい情報を理解してもらうよう、情報発信に力を入れている。
9月22日には有識者によるオンライン情報交換会も開き、畜産分野で課題となっている環境負荷軽減やアニマルウェルフェアなどの情報や各種対策について業界一丸となって共有、理解を深めていきたい考えだ。
協会では、JRAの支援を受け、2022年度から「持続的肉用牛生産関連情報事業」として、持続可能な肉用牛生産に関する情報を調査発信する取組みに力を注いでいる。このうち、普及パンフレットは、前年度に引続き、生産現場の関係者などに手に取って関心を持ってもらうため、4万5千部制作した。今回は現場関係者の関心を引き、分かり易いような内容にするため、マンガ形式で紹介している。
例えば、肉用牛生産での温室効果ガスの排出は、牛の消化器官活動(ゲップ)だけでなく飼料生産や輸送、たい肥処理でも排出されるため、放牧や地域の稲わら、食品副産物の利用、たい肥づくりの工夫など、自分たちでできる取組みがあることを説明している。アニマルウェルフェアは「快適性に配慮して牛を管理すること」として、大切に牛を飼育することが結果的に農場の生産性、経営にもプラスに作用することを紹介している。
一方、協会ホームページは定期的に更新してコンテンツの充実化を図っている。農水省の「持続的な畜産物生産の在り方検討会の中間取りまとめ」に関連した各種支援策や生産地の具体的な取組みを紹介している。
また、「気になる情報の解説」として、▽牛のゲップが地球温暖化の原因と聞きましたが本当ですか▽堆肥から出ている温室効果ガスを減らすのに農場でできることはありますか▽アニマルウェルフェアは生産者にはどんなメリットがありますか▽地球を守るために牛肉を食べないようした方がいいですか――といった疑問について技術的・専門的な立場からの答えを分かり易く紹介している。
9月22日のオンライン情報交換会は、午後1時30分から4時までZOOMを使って開かれる。当日は、▽畜産分野における脱炭素化の取組み(農林水産省畜産局総務課畜産総合推進室調整班専門官請川真也氏)▽アニマルウェルフェアに関する新たな指針(同畜産振興課課長補佐真壁七恵氏)▽生産性の改善はSDGs の達成を加速する!~肉用牛経営における生産性改善の本質(北里大学獣医学部動物資源科学科准教授鍋西久氏)▽畜産分野における温室効果ガス削減に向けた取組みと取り巻く状況(国立大学法人宮崎大学農学部畜産草地科学科教授川島知之氏)――を予定している。参加費無料、申込み期限は9月21日まで。
◆「持続的肉用牛生産関連情報発信事業」オンライン情報交換会申し込みサイト
〈畜産日報2023年9月13日付〉