伊藤ハム米久HDと豪州NAPCoがブランドビーフ「Five Founders Beef」発表会開催、オーストラリア初のカーボンニュートラルビーフ認証、環境配慮の食肉ブランドを強化

ブランドビーフ「Five Founders Beef」
ブランドビーフ「Five Founders Beef」

伊藤ハム米久ホールディングス(以下HD)と豪州クイーンズランド(QLD)州の肉牛生産者North Australian Pastoral Company(以下、NAPCo社)は11月21日、東京都港区の駐日オーストラリア大使館で「Five FoundersBeef(ファイブファウンダーズビーフ)」ブランドの記者発表会を開いた。

同ブランドは豪州政府から初の認定を受けたカーボンニュートラル・ビーフで、伊藤ハム米久HDが2021年11月から独占販売している。すでに伊藤ハム米久HDでは、カナダ産チルドポーク、スペイン産フローズンポークでカーボンニュートラルの輸入食肉ブランドを展開している。

日本市場でもSDGsやカーボンニュートラルへの関心が高まるなか、「ファイブファウンダーズビーフ」を加え、ラインアップを強化していく。記者発表会で、食肉事業本部海外食肉本部輸入ビーフ部の廣田耕一部長は、「現状はホテル・外食関係の取扱いが多いが、消費者の多様なニーズに応えられるように提案していく。消費者にとっても購買することで地球環境に貢献できるため、今後は小売り業界への提案を強化していきたい」「現在は1カ月当たり30tの取扱いだが、来年度には2倍の取扱いを達成したい」と意欲を示した。

発表会には、NAPCo社のジェームズ・カーソンゼネラル・マネジャーらが出席した。カーソン氏によると、1877年創業のNAPCo社は肉牛の繁殖から穀物肥育まで一貫生産を展開しており、QLD州で610万haの所有地に畜牛20万頭を保有している豪州最大級の肉牛生産者で、140年も前からサステナブルな農業生産に取り組んでいるという。

「Five Founders Beef」発表会の様子
「Five Founders Beef」発表会の様子

とくにCO2の排出削減に力を入れており、メタン排出量の育種価による選別や、胃のメタン生成を抑制する栄養補助食品を与えているほか、太陽光発電による再生エネルギーの取組みなども行い、2019年4月に豪州政府から初のカーボンニュートラル・ビーフの認証を取得している。

廣田部長は「日々の商談では、日本のバイヤーは価格に敏感で、なかなかカーボンニュートラルを打ち出せなかったが、この機会を通じて広くアプローチできればと思う。(通常のショートグレインに比べて)やや割高だが、価格ではなく、将来に向けて何をしていくのか、説明していきたい」と述べた。

〈畜産日報2023年11月22日付〉