全国食肉学校「創立50周年記念式典」開催、「若手の人材育成は必要不可欠、食肉業界の発展に尽力」
(公社)全国食肉学校は11月22日、群馬県高崎市のホテルメトロポリタン高崎で創立50周年記念式典を開いた。
会員をはじめ関係団体・企業が一堂に会し、50周年の節目を盛大に祝った。全国食肉学校は1973年(昭和48年)に畜産振興事業団と全農グループの出資で設立し、1974年4月に社団法人全国食肉学校として開校した。産学協同による実践教育や全寮制による心豊かな人間形成の教育理念の下、これまでに2,650人を超える卒業生・修了生を食肉業界に送り出してきた。
開会にあたり、八木岡努理事長(全国農業協同組合連合会経営管理委員会副会長)は、「本校は1973年に設立、翌年4月に社団法人全国食肉学校として開校し、2011年11月には内閣府から公益社団法人として認定を受け、ことしで13期目を迎える。この間、お肉検定や食品衛生管理者登録講習会、外国人技能実習制度の試験機関認定など、公益に資する新規事業を立ち上げてきた。近年では、日本畜産物輸出促進協会主催の輸出先国および招へいセミナーに加え、国連工業開発機関との契約締結、アルゼンチン食肉科学貿易研究所との協定書締結、またベトナム国立農業大学との連携など海外事業も増えてきた」とこれまでの歩みを振り返った。
そのうえで、「食肉は私たちが健康で豊かな食生活を送るために不可欠な食材だが、家畜の生産・と畜・カット・精肉加工など熟練者の技能があってはじめて生活者に提供することができる。その意味で、本校が果たすべき役割はますます重要になっていくものと考える。本校の学生は、産地食肉センターやJAグループ、食肉卸、精肉店・焼肉店の経営者や社員、さらに6次産業化をめざす牛豚生産者で構成されている。本校では家畜の命をいただくことに感謝し、食肉に関する高度で専門的な知識と技術を身に着けさせることはもちろん、自ら考え、学ぶことのできる力を養う。また、仲間を大切にし相手を思いやること、リーダーシップやチームワークの大切さを学び、将来、派遣元企業の経営者や幹部となっていくことが期待されている」とした。
また、「昨今の人手不足の折、皆様の会社も社員を学生として本校に派遣することは容易でないことは重々承知している。しかし、会社そして食肉業界の発展のためには、若手の人材育成は必要不可欠である。改めて、皆様にはお力添えをいただけるようお願い申し上げる。創立50周年を契機に、いま一度原点に立ち返り、食肉業界、そして広く生活者の皆様の役に立てる学校となれるよう、役職員一同、努力を続けていく」と抱負を述べた。
続いて、農水省畜産局食肉鶏卵課の伴光課長補佐、農畜産業振興機構の天羽隆理事長、全国農業協同組合連合会の齊藤良樹常務理事が祝辞を述べた。
その後、小原和仁専務理事学校長が同校のこれまでの歩みや主な事業紹介を交え、近況を報告した。このうち、資格認証事業では、お肉検定(合格者:1級6,313人、2級2,906人)や食品衛生管理者登録講習会(修了生379人)、外国人技能実習制度・技能評価試験(初級4,109人、専門級2,442人、上級166人)、牛豚部分肉製造マイスター(豚マイスター228人、牛マイスター114人)といった事業を通じて、多くの資格取得者を輩出しているという。
このほか、近年では、海外シェフを招いた精肉加工・調理技術セミナーや輸出先国での和牛セミナーの開催に加え、国連工業開発機関との契約締結、アルゼンチン食肉科学貿易研究所との協定書締結、ベトナム国立農業大学と連携した「農業人材開発プロジェクト」などの海外事業にも取り組んでいることを紹介した。
小原学校長は「本校の学生は、▽お肉にたくさん触ることができる▽全小割部位を食べて風味と食感を確認できる▽お肉を大切にできる▽歩留の意味が分かる▽後工程に衛生をバトンタッチできる▽お肉の良さをお客様に伝えることができる▽自ら考え学ぶ人になる▽相手を思いやり仲間と協力できる▽全国にネットワークができる▽食肉業界のリーダーになる」と強調し、組織の人材育成に同校の利用を求めた。
〈畜産日報2023年11月27日付〉