【令和5年12月の牛枝肉相場】12月に入り年末らしい動きに、相場も前年価格を上回るも中だるみの様相
2023年12月に入ってから牛枝肉相場は、先行する交雑種に続き、和牛も強気の展開となるなど、ようやく年末らしい展開となってきた。
流通各社はことしの年末年始需要は概ね前年並みの販売計画を立てているようで、帰省客や観光客の増加、節約疲れの反動で、とくに地方・郊外の店舗では金額ベースで昨対比プラスを期待する企業は多い。もっとも、手前に関しては暖冬や節約志向の高まりから、スライス需要はいま一つの状況にあり、末端も模様眺めのところも。このため、ピークは過ぎつつあるものの、枝の手当ての動きは今週一杯まで継続するとみられる。ただ、相場的には中だるみの様相をみせており、問屋側としても必要以上の在庫を持つのは避けたく、今後の枝相場は不透明な状況にある。
牛枝肉相場は、11月前半までは安値安定の推移を続けてきたが、11月後半になって交雑種が値上がりに転じており、4等級から2等級まで前年価格を上回った。その後、12月に入ってから和牛(去勢)も強気に転じ、12月3週目からは加重平均で前年価格を上回る日も多くなった。
12月18日までの東京市場の取引価格は、和牛去勢A5で2,765円(前月比128円高)、同A4で2,457円(同203円高)、交雑種去勢B3で1,648円(145円高)、11月の平均相場と比べて100~200円値上がりしている。前年同期比では和去A5で1.9%高、A4で0.9%高、交去B3で2.4%高と、前年価格を超えてきている。問屋筋の年末需要期に向けての手当てがピークを迎えたためとみられる。
一方、12月に入っての末端の需要は、カタロース、ロースを中心に堅調で、前述のように交雑種が先行し、現在は和牛もまずまずの荷動きとなっている。動きが弱いのはバラ系くらいで、ウデ・モモのスソ物もしっかりしている。ホルスが前年に比べると動きが弱いものの、シャンクやラウンド系の輸入品の相場高・入船遅れからチマキやモモ系を中心に徐々に引合いが戻ってきている。
クリスマスが明けてからの年末年始は、カタロースを中心にスライス需要は堅調を維持しそうだが、切り落としや焼材などは不透明感も強く、問屋筋は慎重な姿勢にある。先週末も季節外れの暖かい陽気となり、鍋物商材もこの時期にしてはあまり動かなかったことで、末端もギリギリまで見極めており、昨年と同様に年末時期ギリギリでの発注が入る可能性も捨てきれない。それでも「あまり深追いをして在庫を持ちたくない」(カット筋)とホンネも聞かれる。すでに価格は中だるみの様相を呈しているものの、「今週後半から12月最終週の相場展開は不透明」(卸筋)との見方も多い。
〈畜産日報2023年12月19日付〉