ハムソーセージ8社中間、売上高4.4%増1兆7184億円、経常は18.7%増に

〈複数回の価格改定を実施、今後は緊迫する中東情勢が加わり見通しは不透明〉

ハムソー・食肉関連8社の2024年3月期第2四半期(中間)連結決算がまとまった。新型コロナが5類に移行したことで人流が活発化し、外食・業務用需要が回復する一方で、原材料価格、飼料価格の高止まり、円安の進行、消費者の生活防衛意識が高まりで、家庭用商品を中心に厳しい環境が続いている。その中で食肉加工業界では春、秋と複数回の価格改定を行った。

下期については、ウクライナ、為替の円安(現在は円高に振れているが見通しは不透明)に緊迫する中東情勢が加わり、さらに先が読めない状況となっている。スエズ運河の迂回など海上物流で影響が出始めているが、過去には中東戦争によりオイルショックが起こった経緯もあり、注視が必要だ。

対象8社の売上高は前年同期比4.4%増の1兆7,184億円(1億円未満切捨て、以下同じ)だった。7社が増収、1社が減収となった。経常利益では、5社が増益、2社が減益、1社が損失と、依然厳しいものの、前年同期からは改善が進んだ。価格改定で増収も、コストが想定以上に上昇していること、販売競争の激化が影響し明暗が分かれた。

セグメント別には、ハムソー売上(公表している5社対象)は2,486億円(4.1%増)となった。4社が増収だった。ハムソーのコンシューマ商品で価格改定を進めたこと、主力商品の拡販に努めたことで増収傾向となった。加工食品(調理加工品が中心)売上(5社対象)は3,341億円(4.3%増)だった。価格改定とともに、消費者ニーズの多様化に対応した商品の拡販で増収となった。

食肉売上(6社対象)は8,219億円(3.1%増)だった。価格優位性のある鶏肉の需要が高まったこと、外食需要が回復したことで5社が増収となった。利益面では、国内生産での配合飼料の高止まり、物流費の上昇があったが、輸入食肉はコスト高の中で在庫管理・収益管理を徹底したことで増益を確保する企業が多かった。

〈さまざまな環境でも成果を出し続ける企業に、消費者マインド変化もあり動向注視〉

今後の取組みについて日本ハムの井川伸久社長は決算会見で、「次のステージに向けていくなかで、いろいろな環境でも成果を出し続ける会社にしなければならない。食肉の価格変動は多少なりともあるが、それをカバーするような加工事業が必要。それにボールパークのように安定的な利益と将来に向けた新しい事業、新しいカテゴリーの加工系の商品の開発が不可欠」と述べた。

伊藤ハム米久HDの宮下功社長は、下期の情勢について「日米の金融当局による金融政策、昨今の中東情勢の不安定化により、先の見通しが難しい。原料価格やユーティリティコストも高止まり、あるいはさらなる上昇も懸念されるといった不透明感がある。消費者物価指数の上昇、インフレなどから消費者マインドの変化も一部で見受けられ、販売動向に関しても不透明といえる」と慎重な見方を示した。

プリマハムの千葉尚登社長は、「来年4月以降も見通しにくい環境にあり、引続き差別化商品や付加価値のある商品の開発に取り組んでいく。冷凍食品カテゴリーでギフトを展開した。業界では珍しい取組みだが、ある程度認知されつつある。さらにEコマースなど新しいチャネルへの挑戦も行っていく」との方針を示した。

〈畜産日報2023年12月27日付〉