〈令和6年1月の需給展望 豚肉〉出荷頭数多く上げ要因乏しい、例年通りの不需要期パターンに、末端需要は中部位からスソ物、ひき材中心の動きへ
2023年12月の枝肉相場(東京市場)は、2週目早々に590円台(上・税抜き、以下同)を付けるなど、例年よりも早いスタートダッシュとなったが、その反動もあり、3週目後半には500円を割り込んだ。
その後も小幅な反発にとどまり、止め市となる12月28日には460円を付けて終わった。結果、12月の月間平均相場は、510円で前年同月比15円安となった。
年末年始の末端需要は、概ね計画通りの前年並みの売行きとなったようで、中間流通も目立った在庫の持ち越しはなかったようだ。しかし、「成人の日」を含む3連休の需要は一転して振るわなかったようで、今週は中部位を中心に荷動きが停滞気味となっている。
例年1月は年末年始の出費の反動もあり、基本的に需要が鈍る流れにある。学校給食の再開もあり、需要は中部位からウデ・モモのスソ物やひき材へのシフトが進むとみられる。
2023年は1月下旬に日本海側や西日本を中心に大寒波に見舞われたことで、豚価も瞬間的に600円台を付ける異例の展開となった。2月も寒波の影響で500円台半ばの高値が継続した。2024年は暖冬のため出荷は比較的安定するとみられるため、足元の需要動向も踏まえると、例年通り400円台半ばで推移するとみられる。月間平均では上物税抜きで460~470円(税込500~510円)前後と予想する。
また、「令和6年能登半島地震」では生産ラインの点検で稼働を見合わせていた石川県金沢食肉流通センターも1月8日からと畜業務を再開した。すでにほかの北陸地方の食肉センターも通常通り稼働しており、被災地を除けば、今回の地震による豚肉需給への影響は軽微とみられる。
〈供給動向〉
農水省が2023年12月21日に発表した肉豚生産出荷予測によると、1月の出荷頭数は前年同月比3%増の142.0万頭と見込んでいる。農畜産業振興機構の需給予測では、1月の豚肉生産量は前年同月比2.6%増の7.9万tと前年をわずかに上回る見込みだ。
例年この時期は寒波による増体不良あるいは正月休みで出荷重量が大きい個体も散見されるが、ことしは暖冬の影響もあり比較的安定した出荷となりそう。東京市場も1月2週目は1千頭台の上場が予定されている。
これに対して輸入品は、機構予測によると輸入チルドは前年同月比4.5%減の3.3万t、フローズンが同1.5%減の4.0万t としている。しかし、チルドは一部北米産で通関遅れが生じているうえに、欧州産はコンテナ船の紅海迂回で2週間程度の遅延が発生しており、上記の予想よりも下回る公算が強い。量販店の特売など、輸入品の供給遅れが国産のパーツ相場にどう影響してくるか注目されるところ。
〈需要動向〉
年末年始の末端需要は可もなく不可もなくといったところで、ほぼ計画通りの売行きとなったようだ。しかし、3連休は失速気味となり、これまで引合いのあったバラの荷動きも止まっているようだ。
気象庁の季節予報によると、向こう1カ月は、関東甲信や中国地方を筆頭に全国的に気温が高い日が多いと予想されており、鍋物需要も一服する可能性が高い。このため、今後、中部位のうちロースは特売向けの引合いが見込まれるものの、バラ、カタロースは苦戦が予想され、全体として小間材主体のスソ物にシフトしてくる流れとなりそうだ。3学期の開始で学校給食も再開するため、ひき材を含む低級部位の需要は堅調に推移するものとみられる。
〈相場動向〉
東京市場は1月6日の初セリで470円を付け、3連休明けの1月9日は456円に下げてきた。前述の通り、ことしは出荷頭数が多い半面、末端需要が一服するため、枝肉相場も下げ基調の展開となりそう。中旬以降も寒波や疾病などの出荷に影響を及ぼす要因がなければ440~450円水準で推移し、月間平均は460~470円程度(税込500~510円前後)と予想される。
〈畜産日報2024年1月10日付〉