日本ハム、帯広畜産大らと産学連携で新種小麦「えふのちから」を生産、製粉・製パン企業と連携し「シャウMeat マフィン」をオンラインサイトで発売
日本ハムは2月6日、北海道北広島市の「エスコンフィールドHOKKAIDO」で記者発表会を開いた。
帯広畜産大学、東京農業大学、江別製粉(株)、敷島製パン(株)との産学連携で北海道産新ブランド小麦「えふのちから」を生産し、この全粒小麦粉を使用した「シャウMeat マフィン」を日本ハムのオンラインサイトやエスコンフィールド内で発売すると発表した。
「えふのちから」は、帯広畜産大学が研究・開発した小麦の新品種「ちくだい1号」(東京農大と共同研究)を、ニッポンハムグループの(有)純粋黒豚種豚農場から排出されるたい肥を使用した畑で育て、収穫したグループオリジナル小麦ブランド。
これを江別製粉(本社:北海道江別市)で製粉し、敷島製パンの「Pasco 札幌セントラルキッチン」(北海道江別市)でマフィンを製造した。これら一連の取組みによって道内の地産地消と地域に密着した共創を目指していく。
品種開発から収穫、商品化まで約2年に及び、2023年春に麦まきし、8月に収穫した。初年度の収穫量は700kgで、2024年度は2tの生産を予定している。今後、収量の増加に伴いピザなどの新たな商品化や道内の量販店での販売などの展開を目指していく方針だ。
発表会では、日本ハム新規事業推進部の高崎賢司部長、帯広畜産大学産学連携センターの東陽介副センター長、東京農業大学北海道オホーツクキャンパス笹島真也准教授、江別製粉の安孫子俊之社長、敷島製パンPasco札幌事業所の橋本美帆課長が、産学官連携のそれぞれの取組みを紹介した。
このなかで高崎部長は「えふのちから」について、「大学と企業の連携で約2年かけて作り上げた。我々の新たなタンパク質の可能性にチャレンジするといった取組みの一環でもある」としたうえで、「古代小麦の『スペルト種』と北海道産春まき小麦の掛け合わせから誕生した商品で、持続可能な農業の取組みとして日本ハムの農場で育てた」「これまでも純粋黒豚種豚農場では豚の排せつ物をたい肥にして、畑で作物を作ってきた。帯広畜産大学から新種の小麦の提案を受けたときに、北海道での連携であるうえに、我々が持つ農業のインフラとマッチする取組みと考え、今回のプロジェクトに至った」と紹介した。
また、産学連携の場として北海道を選んだ背景として「ニッポンハムグループの事業拠点の2割を北海道で展開している。北海道に愛着のある企業であり、ここで地産地消や共創を産学連携で挑戦していく」と強調した。
敷島製パンの橋本課長は「えふのちから」の特徴として「(スペルト小麦由来の)野性味あふれる個性のある味わいが特徴」と説明。マフィンは北海道産小麦「ゆめちから」とブレンドして作り上げたとし、「(ゆめちからの特徴となる)もちっとした食感と、(えふのちからの)独自の風味、個性のある味のマフィンに仕上がった」と紹介した。
今後の展開として高崎部長は、「初年度は5反(5千平方メートル)で約700kgの収量実績だった。この生産量だと、エスコンフィールドやオンラインサイトの販売に使用する程度しかない。来年度は2tの生産量を予定しており、その収量であればマフィンにプラスアルファの商品開発・生産も見えてくる。(この産学連携チームで)、新しい商品開発も含めて展開していきたい」と展望を語った。
北海道産小麦「えふのちから」を使用した「シャウMeat マフィン」の発売開始時期は、オンラインサイトが2月29日から、エスコンフィールドが3月12日からを予定している。
〈畜産日報2024年2月7日付〉