【令和6年4月の需給展望 鶏肉】春の行楽需要などで荷動き好転に期待、他畜種からのシフトも

〈モモは月間平均650円前後で一段下げ、ムネ360円前後で横ばいか〉

3月の鶏肉需給は、需要の端境期だったこともあり、モモを中心に全体的に静かな商いが続いた。ただ、当初は需要の落ち着きに伴い、相場も早々に下落するとみられたが、実際は月の中旬まで660円台を維持し、最終週になってやっと650円台前半まで下げるという展開となった。ムネも月間を通して概ね360円台とほぼ横ばいで推移した。3月は学校給食のストップもあり、基本的に荷動きは芳しくなかった。そうしたなかで、手羽元やササミといった単価の安いアイテムに引合いが集中した。凍結品については、ムネは夏場の需要期に向けて凍結玉を確保しようとする動きが強まった一方、モモは各社決算月ということもあり、一部では投げ玉もみられたようだ。

この結果、3月の月間平均は日経加重平均でモモが660円(前月682円)、ムネが364円(369円)と前月から値を下げたものの、小幅な下げにとどまり、正肉合計で1,024円(1,051円)となった。前年同月比ではモモ138円安、ムネ47円安と引続き前年価格を大きく下回る状況が続いている。

〈供給見通し〉

日本食鳥協会がまとめたブロイラー生産･処理動向調査によると、4月の生体処理羽数は前年同月比4.3%増、処理重量が2.1%増と前月マイナスから再びプラスに転じると予測している。前月は一部九州の出荷状況が良くなかったことなどからマイナスとなっていたが、4月は回復に向かうものとみられる。地区別にみると、北海道･東北地区は羽数3.3%増、重量1.9%増、南九州地区が羽数5.5%増、重量3.2%増といずれの地域も順調な生産を見込んでいる。

一方で、農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によると、4月の鶏肉輸入量は前年同月比6.7%増の5万600tと予測している。ブラジルの輸入回復に伴い、2～4月の輸入量は各月とも5万tを超えてくるものとみられ、3カ月(2～4月)平均では5万4,700tと前年同期を15.4%上回る見通しだ。ただ、今後は円安などで先物の目線が上がりつつあるなか、調達はそれなりのボリュームに抑えられるものとみられ、国内の底堅い需要を背景に、相場は締まった展開が予想される。

〈需給見通し〉

4月に入り、学校給食の再開に伴ってモモ、ムネともに動きが出始めている。関東･甲信地方などでは、今週末から桜の満開が予想され、花見需要などにも期待がかかる。さらに、月後半にかけてはゴールデンウイーク(GW)に向けた手当ても入るため、4月の需要環境は基本的に上向いてくるものとみられる。モモはここから相場がもう一段下げてくれば、量販店の特売用に引合いが出てくる可能性もある。ムネは春の新商品用などで加工筋需要が堅調で、夏場にかけてさらに需要が高まってくることが予想される。また、消費者の生活防衛意識が高まるなか、牛肉や豚肉から比較的安価な鶏肉にシフトする流れは継続するものとみられ、手羽元や手羽先、ササミといった副産物への引合いも継続しそうだ。輸入品もインバウンドを含め外食需要が回復傾向にあるなか、外食チェーンなどでは、鶏肉のメニュー展開を検討する向きもあるようだ。

〈価格見通し〉

1日の相場は日経加重平均でモモが650円、ムネが361円でスタートしたが、翌2日にはモモ637円、ムネ349円と急落した。ただ、前述の通り、需要はここから上向いてくる方向にあるため、荷動きが活発化すれば相場は反転する可能性が高い。中旬にかけて中だるみがあったとしても、GW前の手当てで後半に跳ねる可能性もあるため、4月の月間平均は日経加重平均でモモが650円前後(農水省市況670円前後)、ムネが360円前後(380円前後)と予想する。

〈畜産日報2024年4月5日付〉