「明治イノベーションセンター」竣工、オンリーワン商品作る拠点に
約200人が出席する中、川村和夫社長は、「海外市場を視野に入れた食の新しい価値創造の起点、土台となる研究開発を担うのが当センター」とし、研究機能の融合や社内外の「知」の融合を進め、「連続的イノベーション(技術革新)を起こしていく。オンリーワン商品を作るための拠点としたい」と、同センターの位置付けを強調した。研究所集約によって組織の融合を加速していく。
〈世界の食品業界で影響力もつ研究所〉
新研究所は、乳・乳製品が中心の小田原研究所、菓子が中心の埼玉・鶴ヶ島研究所を移転・集約し、商品開発研究、食品機能研究、生産技術研究、品質科学研究など同社が保有する全ての研究開発機能を統合したもの。約500人在籍の研究員の研究領域・部署を越えたイノベーションを起こそうと、交流を促し、組織の枠を越えた発想を生み出せるようなフロア構成となっており、2~5階のフロアの中央にそれぞれコミュニケーションスペースを置き、上下移動しやすい吹き抜けの階段を設置、その外縁にデスクワークスペース、実験室を配置している。
「2研究所の統合効果で期待するのは、機能性×チョコの『チョコレート効果』のような新市場開拓、温度帯を越えた『ザバス』のチルド部門展開のような融合効果。技術融合がこれからの(新しい価値創造の)一つの切り口だと考えている」(伊藤裕之取締役常務執行役員研究本部長)。
研究棟の心臓部となる乳酸菌ライブラリーは、菌株約5000種を保有し、顔認証セキュリティを導入。研究は、基礎研究組織(乳酸菌、技術、品質科学研究所)と開発研究組織を分けて専門性の強化、深化を図る。川村社長は「明治2026ビジョンの目標は、消費者の健康的な食生活の実現。当センターで研究員の部署を越えた交流をはじめ、サプラーヤーや大学関係者など外部との絆を深め、牛乳乳製品に関わる最新の技術情報と知見を集約し、新しい価値を創出し続けていく」と、同センターで潜在的な成長力を引き出すことを強調した。また、世界のマーケットを視野に入れ、「世界の食品業界の中で影響力を持つ研究所」を目指す意気込みを示した。
なお竣工祝賀会には200人以上が出席し、鏡開きで同センターの誕生を盛大に祝い合い、乾杯挨拶で松尾正彦明治HD社長は「今後の成長ドライバーは当センター。立派な施設に恥じぬよう100年先を見据えた研究に取り組んでいく」と力強く話した。
所在地は八王子市七国一丁目29の1、敷地面積は4万452㎡、延床面積は3万6829㎡。構造規模は基礎免震構造の5階建て研究棟と、3階建てのパイロットプラント棟。来年3月末までに2研究所から同センターに集約する。2研究所の跡地活用については今後検討する。
〈食品産業新聞2017年11月20日付より〉
盛大に鏡開きを行う川村社長(中央)、松尾HD社長(右端)ら