家庭用バター不足解消へ、業務用を量販店で販売し対応
家庭用の国産バターは、約9割が北海道で生産されており、生産メーカーが限られ生産能力も限られる。消費量は、最需要期がクリスマスのある12月で月間消費量は約2,000t、通常5月ごろの消費は1,400t程度だが、今年5月は、外出自粛により家庭内で食事をしたり、パンや菓子を作る機会が増えたことで、いつもの時期の1.5倍程度、月間2,200t位に跳ね上がった。
生産現場では国の要請もあり、3月の全国一斉休校、4月の飲食店の営業休止で行き場を失った牛乳・乳製品向けの生乳を、バター生産に回し急きょ増産(3〜4月生産量は前年比31.6%増、農水省データ)、工場も製造設備をフル稼働、日々スーパーに向けて出荷したが、それでも過去に例がないほど膨れ上がった需要をまかないきれず、欠品を起こしてしまったわけだ。
農畜産業振興機構の酪農乳業部によると、4月24〜26日行った、スーパー100店(京浜52店舗、京阪神48店舗)のバターの店頭調査では、バターの陳列がなかった店が100店舗中、31店、(京浜37%、京阪神25%)。また「お1人様1点限り」など店舗告知している店は26%(京浜35%、京阪神17%)だった。
4月27日〜5月3日の販売状況(対象店舗約850店)については、1店舗当たりのバター販売が、重量ベースで前年同期比44.6%増の9.46kgとなり、2.92kgも増えていたことが分かった。
バター消費の急増は、家でパンや菓子を作る機会が増えたことが最大の理由ではあるが、今年3月にテレビ番組で免疫力アップが期待される食品の一つに、バターが取り上げられ、放送直後、一部スーパーで品薄になるなど、4月に入る前の段階で消費量のベースが例年より若干上がっていたことも背景にある。
家で作ったパンケーキが予想以上においしく出来たなど、新型コロナを機に強まる内食需要、菓子作りの機会が、今後ますます強まる節約志向の中で、極端に減ることなく、生活の変化とともにある程度定着していくものとみられ、品薄解消後のバターの消費動向に注目だ。
なお業務用ポンドバターとは、家庭用バターの約2倍の大きさ、主に約450g(1ポンド)の冷蔵保存のバターで、レストランなどの外食業界、製菓・製パン業(洋菓子店、パン小売店など)で使われている。