「明治プロビオヨーグルトR‐1」大容量の販売エリア全国拡大、甘さ敬遠する新規客を取り込みへ

「明治プロビオヨーグルトR-1 プレーン」
2020年春、関東地区で先行発売した「明治プロビオヨーグルトR-1 プレーン」大容量が、10月6日から販売エリアを全国へ拡大する。

1個売り(112g)の3個分の336g、価格も3倍の税別396円で、果たして売れるもののかと業界内では注目だったが、明治は「初めてR-1を食べた層がユーザーとして入ってきている」と手応えがあったようだ。トライアル購入を獲得できたのは、既存品にはない甘みなしのプレーンだったからなのか、関東での成功事例を全国各地へ広げることができるのか関心が集まる。

「R-1」大容量の最大の目的は、新規ユーザーの獲得。伊藤園「お~いお茶」やアサヒビール「スーパードライ」など、名だたる食品メーカーのトップ商品と並ぶ立ち位置のブランドでありながら、これらと比べると間口が狭い(購入経験率が低い)のが課題だった。

超・超高齢社会(2025年問題)、これに伴う食品市場の量的縮小を見越し、食品企業各社が様々な施策を打つ中で、「R-1」大容量は単なるラインアップ拡充という意味合いだけでなく、各社が抱える「若年層を中心とした新規購入者・新規ユーザーの獲得」を狙ったものであり、この動向は同じような悩みを抱える様々な食品企業、食品業種から注目されていた。

関東発売から約6カ月、明治による売場調査で見えてきた傾向は、売場は既存品の1個売りやドリンクタイプを陳列した機能性ヨーグルトの「R-1」コーナーよりも、400gの大容量「明治ブルガリア」などが並ぶプレーンヨーグルト売場の方が売れるということ。プレーンヨーグルト売場の上の段に並ぶと300円位の中間価格帯商品、こだわりの付加価値商品と横並びになり、価格が高く見えないことなどから、プレーンヨーグルトユーザーの一部を取り込むことができたとみられる。

そして売れた最大の理由は、甘くないプレーンタイプだったこと。新規購入者の取り込みがそもそもの目的だったため、既存品にはないプレーンタイプにし、好みでフルーツを加えたり食べる量を調整したり、食べ切り・飲み切りサイズの既存品とは異なる食シーンを想定していた。これが狙い通りはまり、甘いヨーグルトが嫌いでこれまで食べていなかった人=新規客を呼び込むことができ、「R-1」を家族で分け合うという新しい食シーンを作り出すことができたというわけだ。

「砂糖0」タイプは既存品にあるが、甘味料入りで甘さがあるため、原材料にこだわりがあり甘味料が嫌いな人は、これまで「R-1」に興味はあっても買わなかったと推測される。この層が買うきっかけを大容量プレーンが作り、そもそも機能性ヨーグルトは健康意識が高い人が買う商品だからこそ、プレーンは存在価値があり、受け入れられたものとみられる。

「大容量を介して初めて『R-1』を知った人がいる」(明治)。

実は大容量の販売は、「R-1」の売り上げがピーク時から落ち込み、踊り場にあった状況を変えていく=売り上げの上乗せの使命もあった。そこに新型コロナウイルスによる特需が発生し既存品の売り上げが完全復活したことから、結果的に大容量の役目は売り上げの上乗せ以上に、新規購入者獲得の要素がより色濃くなってきている。

その状況下での10月からの販売エリア全国拡大。一般的に関東人には付加価値商品が受け入れられやすいと言われ、ヨーグルト以外の食品も新商品はまずは関東圏でテスト販売し、知名度と販売実績を作ってから全国各地のスーパーへ進出していくという流れがある。「R-1」は知名度が高いため、売り場への導入に関しては障壁がないとみられ、あとはヨーグルトのどの棚に並び、初めて「R-1」を手にする人とどれだけ接点がもてるか、トライアル購入までこぎつけられるかが焦点となりそうだ。