地域の防犯・安全へ、カメラ付き“見守り自販機”広がる アサヒ飲料が設置開始
“まちを見守る自販機”は、通常の自販機に小型カメラを搭載し、NECが開発した「映像クラウドサービス」を活用したもの。付属している通信機器により自動的にNECのクラウドサービスへ映像データが保管される仕組みのため、映像データの確認が必要な場合、自販機までいかずに、遠隔地で確認できるという。なお、設置にあたっては、上部および正面にカメラ付自販機であることが分かる告知ボードを設置する。利用者や通行者のプライバシーに配慮する考えだ。
地域の防犯・安全に貢献するカメラ付き自販機は、昨年7月から開始しているキリンビバレッジの「みまもり自販機」もある。これは、同社と警視庁西新井警察署(東京都足立区)が独自開発の小型カメラを内蔵した「みまもり自動販売機」の設置を、西新井警察署管内で開始しているもの。現在まで約30台を設置している。
飲料メーカーでは初となる商品サンプルに内蔵可能な小型カメラの開発により、人の目線の高さでの映像取得が可能。映像データは、マイクロSDカードに保存し、厳格なセキュリティで管理され、閲覧できるのは西新井警察署のサイバー対策用のパソコンのみであることが特徴だ。
キリンビバレッジ「みまもり自販機」
関西では、コカ・コーラ ボトラーズジャパンが、2018年3月に奈良県平群町と西和警察署との協定を締結し、 犯罪抑止に効果的なメッセージを記載したオリジナルデザインの「防犯カメラ協賛 自動販売機 」を設置した。防犯カメラの管理者は町役場で、事件発生時には、警察署が映像を優先して使用できるとしている。同社では、周辺市町村でも同様の取り組みを進めている。
日本の自販機の普及台数は、2018年末で「缶・ペットボトルなどの清涼飲料自販機」が約212万台(前年比0.5%減)、飲料合計で242万4000台(同0.8%減)と微減傾向にある。今後も設置を続けていくためには、地域やオフィスなど設置場所に貢献することで存在価値を高め、“なくてはならない”存在になることが重要になる。地域の防犯に貢献するカメラ付き自販機は、人の集まる立地に設置できる可能性が高いため、販売数量の増加など経済活動の面でもプラスにつながる。あとは、告知のボードなど、プライバシーの面でどこまで配慮していけるかがカギになりそうだ。