“茶殻”を活用した抗菌対策自販機、伊藤園が3万台展開へ
茶殻抗菌シールは、独自の技術「茶殻リサイクルシステム」により開発され、カテキンなど緑茶成分由来の抗菌効果がある。同社によれば、茶殻配合シートは、大腸菌、MRSA、サルモネラ菌、白癬菌を用いて抗菌力評価試験を行ったところ、抗菌効果が認められたという。
自動販売機は主に即飲み需要の消費者に利用されているが、不特定多数の人が利用するため、「衛生面」への不安の声も聞かれるという。今回、自動販売機の購入ボタンや取り出し口に、抗菌効果のある茶殻抗菌シールを貼付することにより、消費者の「安心」「安全」の思いに寄り添い、より衛生的で身近な自動販売機として展開する考え。
伊藤園「茶殻抗菌シール」自販機
伊藤園では、「お〜いお茶」をはじめとする日本茶飲料の販売拡大に伴い、製造過程で排出される茶殻の量が年々増加している状況にある(2018年度の排出量は約67,400トン)。
そうした中、有効活用に向けて、茶殻を原材料の一部に使用し、畳や建材、マスクケースなどの樹脂製品、紙ナプキンや封筒などの紙製品、そして「お〜いお茶」ブランドのペットボトル用段ボールまで、これまでに約100種類の茶殻リサイクル製品を開発しており、独自の技術「茶殻リサイクルシステム」を確立していた。
同社は、「今後も、“茶殻リサイクルシステム”のコンセプトである“お茶をお客様の身近な製品へ活用する”という考えのもと、身近な茶配合製品の研究開発に積極的に取り組み、“茶畑から茶殻まで”の一貫した環境経営を行うことで、本業を通じた社会貢献活動の輪をより一層広げてまいります」としている。
なお、茶殻抗菌シールを実現した「茶殻リサイクルシステム」とは、多量の水を含む茶殻を輸送・工業製品に配合できる技術のこと。茶殻は多量の水を含んでいるため腐敗しやすく、代替原料化するには乾燥工程が必要となる。しかし、乾燥することで燃料消費や二酸化炭素の発生が課題となり、これまで茶殻を保存・輸送する技術を確立できていなかった。伊藤園は、含水のまま常温保存して輸送・工業製品に配合できる技術「茶殻リサイクルシステム」を2001年に確立している。
「茶殻リサイクルシステム」