〈第47回食品産業技術功労賞〉ヤマザキ チルド包装惣菜「もう一品」シリーズ
低温殺菌により、チルド食品ならではの「素材の美味しさ」が味わえることを実現。家庭料理に準じた調理方法、家庭と同様の基礎調味料を使用した味付けにより、商品設計を行っている。同社は95年に和風惣菜(ひじき煮・きんぴらごぼう等)のチルド包装惣菜を製造開始。
07年に本格的なチルド包装惣菜を製造するため、専用工場を稼動開始した。そうした中、09年に大手CVSで惣菜の廃棄ロスが問題となり、日持ちと品質を両立したチルド包装惣菜が大きな注目を集め、同社が市場をけん引してきた。
昨年11月には、さらに家庭料理の作りたて感・美味しさを追究し、こだわりの製造・包装技術を採用した「もう一品おかずの極み」シリーズを新たに追加し、さらなる市場拡大を目指す。
ヤマザキ 専務取締役グループ生産統括 杉本正美氏
〈畑から家族までつなぐ「垂直統合」〉
当社の「もう一品」シリーズはすべてチルド食品として展開している。素材の風味を保ちながら、チルド下での賞味期限が30~40日と長いことが特長だ。素材本来の風味や食感を味わえるという点で、レトルト食品よりも優位性があると考えている。
それを実現するため、低温で長時間かけて殺菌する。微生物を完全に死滅させるのではなく、害のない程度にまで減少させる一方で、芽胞菌は死滅しないため、チルド流通10℃以下での管理が必須となる。さらに当社では、原料の下処理方法や工場での清掃・洗浄などの衛生管理を徹底するとともに、真空パック包装後殺菌を行うことで品質を保持している。
“素材の風味を保つ”と言うだけに、原料そのものがおいしいものでなければならない。それもあって、今年6月に、「ヤマザキグループ総合研究所」を静岡県吉田町に開設した。「農業を科学する」「料理を科学する」というモットーの基、農業から取り組み、畑から工場、家庭までをつなぐ「垂直統合型」の商品づくりに取り組んでおり、これまで分散して配置していた各部門の拠点を集約することで情報共有を活発化させ、畑から食卓までの距離を縮め、より鮮度の高い美味しい商品づくりの実現を目指す。さらには、研究設備を充実させることで、原料開発・商品開発の再現性を向上させ、チルド惣菜のさらなる進化につなげたい。
〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉