受託給食企業4社による保育園給食の取組み/日本給食サービス協会主催セミナー(1)

東雅臣委員長(左端)と4社の発表者
(公社)日本給食サービス協会は2月21日、第39回フード・ケータリングショーの一環として、協会主催セミナーを開催した。

第12回のテーマは昨年に続いて、「~安全・安心に取り組んでおります~『保育園給食への取り組み』」。200名規模の会場に260名以上の参加者が詰めかけ、立ち見の方が出るほどの盛り上がりの中で、受託給食企業4社は工夫を凝らした独自の取組みを紹介した。東雅臣協会教育研修委員長((株)東京天竜社長)の司会進行により、参加者との質疑応答なども実施され、充実したものとなった。4社の発表を聞いた参加者は、給食サービスの質を高める多くのヒントを見つけたに違いない。注目の講演概要を報告する。

〈「安全・安心な保育園給食の実現で社会のニーズに応えたい」日本給食サービス協会・西剛平会長〉
はじめに、西剛平会長((株)レパスト社長)は、以下の通りあいさつした。

日本給食サービス協会・西剛平会長

日本給食サービス協会・西剛平会長

「このセミナーは給食現場で起こる諸問題に対して現場の皆さんが改善・工夫された生の声を発表いただくもので、今年で12回目の開催となる。

昨年に続き、テーマは保育園給食だ。日本社会は急速に少子高齢化が進んでいるが、一方で女性活躍推進法の制定等により、女性の社会進出のための基盤が整備され、家庭で子育てに専念されてきた子育て世代の方々が、育児しながら働く機会が増えてきている。

また、地方自治体は育児環境の整備を積極的に進めており、内閣府が発表した『子ども・若者白書(2017年版)』によると、待機児童の受け皿22万人分の予算を31年度までに確保し、平成32年度には待機児童を0にするための調整が行われるという。

協会が2年毎に実施している会員企業の調査結果では、保育園給食の受託施設数が2008年の約1,100ヶ所が12年に約1,800ヶ所に、16年には約2,500ヶ所と急激に増加している。これは、労働者不足が深刻な日本社会において、保育園の整備を求める社会のニーズが背景にあると考えられる。協会としても、保育園給食に対する取組みが重要であると考え、2年にわたり継続して今回の企画を立てた。

協会はこれからも安全・安心な保育園給食の実現により社会のニーズに応え、子育て世代の皆様に協力をしたい。セミナーが皆さんの日頃の仕事に何らかのお役に立つことを切に祈念している」。

〈「保育園給食は時宜を得たテーマ」農水省食料産業局外食産業室・新藤光明室長〉
続いて、来賓の新藤光明 農林水産省食料産業局外食産業室長は、「娘が保育園に通っており、毎朝、娘を園に送り届けてから仕事に向かっている。娘は毎日の給食を楽しみにしており、給食が親子の話題によく出る。個人的にも給食事業者の皆さんにはお世話になっている」と謝辞を述べ「皆さんは、安全・安心だけでなく、美味しさや食の楽しみといった価値も提供されており、多くの方から、子どもの笑顔が支えで、それをモチベーションに仕事していることを伺っている。それは非常に尊くて、素晴らしいことだ。皆さんは、人手不足が深刻な世の中で生産性を上げながら、そして働く人の環境も整備しながら、食事を提供されている。本日のセミナーは時宜を得たテーマだ。課題を出し合い、建設的な議論がなされ、いろいろなものをそれぞれの事業所に持ち帰ることで現場に生かしてもらえたら素晴らしい。セミナーの成功を祈念している」と激励の言葉を贈った。

農水省食料産業局外食産業室・新藤光明室長

農水省食料産業局外食産業室・新藤光明室長

(この項、続く)

〈給食雑誌 月刊 メニューアイディア 2018年4月号より〉

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