ロイヤルHD、セルフオーダーで省人化へ
ロイヤルホールディングスは6日、ロイヤルグループの生産性向上と働き方改革を目指す実験店舗「GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店」を開店した。同社初の完全キャッシュレス、セルフオーダーシステムを採用した研究開発店舗で、マイクロウェーブコンベクションオーブンなど最新調理機器も導入し、省人化を目指した。少子高齢化による生産労働人口の減少や市場変化などサービス産業を取り巻く環境は厳しさを増している。同社は同様の店舗を来年度中に3店舗ほど計画しており、同店を足掛かりにグループ全体の課題解決と次世代のビジネスモデル確立に向けた取り組みを強化していく。
黒須康宏社長は1日に開いたプレス内覧会で同店にかける意気込みを次のように話した。「生産性向上と働き方改革に加え、お客様満足度をどう高めていくか、そこにポイント置いてこの業態を開発した。同店舗で培ったノウハウを既存のファミリーレストラン『ロイヤルホスト』などにも導入していきたい」。
既存店の「店長業務の負担が大きく人材育成の時間が取れない」など、飲食店固有の課題に対応するため、同店には完全キャッシュレス、セルフオーダーのオペレーションを導入した。楽天の「楽天ペイ(実店舗決済)」の決済システムを使用し、支払いはクレジットカード、「楽天Edy」や交通系ICカードを含む主要電子マネーの利用が可能。現金管理を無くすことで、売上管理業務の作業数が軽減し、「レジ締め」もこれまでの40分から1分程度に短縮できるという。
また調理時間の短縮では、マイクロウェーブコンベクションオーブンのシステムをパナソニックと共同で同店用に開発。SDカードにメニューごとで異なる調理方法を記憶させることで、番号を押すだけで、質の高い料理が出来上がる。
調理機器が最小限になることで厨房スペースをコンパクト化し、狭小立地でも客席スペースを確保できる。油や火を使わず、生ゴミが少ないクリーンキッチンのため、レストラン用の物件以外にも店舗物件の候補対象が広がり、小規模・低投資型店舗の展開が可能となるという。
店舗業態は、気の合う仲間同士が気軽に集い、にぎやかに楽しむ同社初のギャザリング業態。アルコールとともに楽しめる前菜やサラダ、ロイヤルオリジナルのドミグラスソースで煮込んだ「PANTRYハンバーグ」(税抜980円)など洋食料理を用意した。
冷食販売も実施同店のもう一つの特長が、BtoCへの取り組みだ。「コスモドリア」や「デミグラスハンバーグ」など「ロイヤルホスト」で人気のメニューを同店で販売する。セントラルキッチンで製造し店舗へと納入される冷凍食材を、3から4割程度価格を引き下げて、そのまま販売するもので、売れ行きを見た上で、中食への進出も目指すという。
〈食品産業新聞2017年11月9日付より〉