コロナ禍でも健闘のファストフード、テイクアウトやデリバリーのキャンペーン施策が奏功
その中でも「洋風ファストフード」は、ドライブスルー完備店などにより持ち帰り需要が大幅に増え、一部の店舗では店内飲食を中止してテイクアウト販売に限定したにもかかわらず、売上高は前年を上回る102.8%になるなど、テイクアウト・デリバリーに注力した商品施策や取り組みによって健闘したチェーンが多いことが特徴だ。
「バーガーキング」を展開するビーケージャパンホールディングスは、5月1日からテイクアウト限定で対象商品を注文すると2個目が無料になるキャンペーンを実施しているほか、同梱されたレシピを参考に、好きな具材やソースを加えて自分だけの本格バーガーを家でつくれるキット「COOKING BURGER @Home」(2セット税込1,080円)をデリバリー限定で販売している。
ピザチェーン「ドミノ・ピザ」は3月6日から、他のピザチェーンに先駆けて、直接の手渡しを避けたピザの配達サービス「あんしん受取サービス」を開始した。5月18日には、一人暮らしの人でもピザを気軽に頼めるよう、ピザ業界で初めて「デリバリー最低注文金額」の撤廃を実施した。また、花見の時期にあわせて行った企画「ドミノ お家で花見」は、デリバリー限定で「2枚目0円」になるキャンペーンにあわせて、公式YouTubeチャンネルでBGMつきの花見映像を配信した。GW期間中には「おうちでゴールデンウィーク」として、デリバリー限定でピザが30%割引になるキャンペーンとともに、ZoomやLINEで使える背景画像を配布したなど、外出自粛により出かけたくても出かけられない消費者に訴求した施策を行った。
ドミノピザはデリバリー最低注文金額を撤廃、「あんしん受取サービス」も
同じくピザチェーンの「ピザーラ」では、5月7日から6月17日までの期間中、人気のクォーターピザとサイドメニューを組み合わせた「ファミリーセット」(税込5,000円)を販売し、ファミリー世帯の巣ごもり需要を狙った商品施策を行っているほか、5月7日からは「置き配達サービス(置き配)」を開始するなど非接触型の配達サービスを行っている。
ピザーラ「ファミリーセット」
洋風以外のファストフードでは、牛丼チェーン「すき家」が5月27日から、家庭での調理の一助として「すき家の牛丼」を使うことで簡単にチャーハンやドリアなどが作れる「アレンジキット」(各税込550円)を販売している。「高菜明太マヨ牛丼(並盛)」とたまご、ごま油がセットになったアレンジキットを購入すると、家で高菜明太マヨチャーハンが作れるなど、公式ホームページ上でレシピ動画を公開している。
すき家「高菜明太マヨチャーハンアレンジキット」「キムチチャーハンアレンジキット」発売
同じく牛丼チェーンの「吉野家」では、4月13日から4月19日の期間中デリバリーサービス「出前館」で注文した人を対象に「送料無料キャンペーン」を実施したほか、4月23日から5月31日まで「テイクアウト限定ファミリーセット」の販売を行った。現在は、2019年12月に行ったフィギュアがもらえる人気企画「ポケ盛」を、6月15日までのテイクアウト限定で販売を再開し、注目を集めている。
吉野家「ポケ盛」テイクアウト限定で再販売
うどんチェーン「丸亀製麺」は、5月27日からうどんの持ち帰り販売を開始した。これまで天ぷらの持ち帰りを実施していたが新型コロナウイルスの影響を受け、うどん、いなり、丼、トッピングを新たにテイクアウトの対象とした。うどんの麺とだしを分けて提供できる容器を導入したことにより持ち帰りを実現している。
丸亀製麺 テイクアウトのうどんは麺とだしを分けた器で提供
5月25日に緊急事態宣言が全面解除されても、依然として新型コロナウイルス感染症の懸念は残っており、テイクアウトやデリバリーを推進する外食企業の動きは今後も続きそうだ。