テーブルマーク亀山常務執行役員「来期は増収増益を必達」
テーブルマークの今期1~9月の冷食分野の販売状況は前年を下回って推移した。家庭用・業務用ともにステープル商品群のNBは好調だが、小売のPB商品群の落ち込みが影響した形だ。現状認識と今後の事業方針について、10月1日に常務執行役員M&S本部販売統括事業部長に就任した、亀山明記氏に聞いた。
――売上高が前年割れで推移している(日本たばこ産業の加工食品事業として冷凍・常温加工食品の売上高は921億円で前年同期比3.1%減で営業減益で推移)
冷凍食品について家庭用はほぼ前年並みで推移、業務用は少し落ち込んだ。ステープル商品群のNB商品は好調だったが、PB商品、特に業務用が苦戦した結果だ。家庭用の主力である、うどんは全体で微増だが、NBは11%増と伸長している。一方でPBは減少した。PBは受託競争もあるが、適正価格から外れないことを心掛けていきたい。
今期1月から、冷凍麺GO!GO!(5・5)戦略(売場に素材麺と具付き麺をそれぞれ5SKUの導入を図る取り組み)を推進しているところだ。長い目で見てNB商品の販売増加は良い方向に向かっていると考えている。
玉麺だけでも「丹念仕込み」のようなハイグレードな商品や国産小麦使用、また讃岐だけでなく「稲庭風」のような細麺までそろい、具付き麺でも様々なバリエーションで売場を展開できるメーカーとして、強みを訴求していく。
――そのほか家庭用の動向について
家庭用ではお好み焼もNBが15%増と伸長している。導入SKUをもう1品増やす取り組みを推進している。昨年のフローズン・アワード(日本アクセス主催)で大賞を受賞したことも影響した。
冷凍麺の中ではラーメンは苦戦したが、想定の範囲だ。前期まで汁なしの具付き中華が好調だったが、今春、汁なしをうどんメニューにシフトした影響がある。
具付き麺については地域性を反映した商品展開も始めている。定番の「讃岐麺一番肉どん」に加え、今秋から関東限定の「大盛牛肉うどん」を発売している。このようなエリア限定商品の展開は今後も取り組んでいきたい。他社の取り組みもあるが、新商品は春・秋以外の期中発売も考える必要はあるだろう。ただし棚替えと絡む事柄なので、小売業・卸店と連携した取り組みになると考えている。
――業務用の動向について
業務用もNBは健闘しており、PB受託の落ち込みが減収の主因だ。それに加えて海外(特に中国)製品がこの間、年々減少している影響もある。中国製品はコスト優位性が薄れ、生産の柔軟性も失われつつある。日本向け商品から内販向けに舵を切っている状況だ。業務用で伸びている分野はお好み焼・たこ焼のスナック類と中華惣菜だ。パンもNB商品は引き続き伸長している。自社グループ工場での生産比率は80%を超えているが、右のいずれも自社グループ工場の稼働に貢献している。
冷凍パンはホテルのビュッフェ用として販売を拡大してきたが、次のステージに踏み込みたい。より本格的な外食業態にバゲットを中心に提案し始めている。一方で量販店のインストアベーカリーにも朝の時間帯など、品揃えの一環として潜在需要があると考えている。
――今後の方針について
7~9月は収益性が上向いていることから、通期で減収・増益を計画しているが、メーカーの使命として、来期は増収増益を絶対に果たしたい。
今期から生産体制の再構築に着手しており、今後は製造部署との連携強化が必要となる局面はあるだろうが、No.1カテゴリーのうどん、お好み焼・たこ焼をしっかり売り上げていく。
単身世帯の増加や女性の社会進出という社会背景、また人手不足による調理現場でのニーズの拡大も肌で感じる。冷凍食品業界にとって追い風であるのは間違いない。
〈冷食日報2017年11月29日付より〉