パン粉業界 「利益の出るパン粉屋」へ舵取り、コスト競争から脱却進む

パン粉の生産量(農水省・食品製造業の生産動向)
〈各社が付加価値商品を提案〉
2017年のパン粉の生産量は、微増傾向の進ちょくだ。けん引するのは冷食メーカー向けの業務用パン粉。冷食メーカーの国内への生産拠点の回帰の動きも影響している。外食向けの凸凹はあるが、とんかつ店の新規出店などが下支えする。惣菜の拡大などで内食向けも新規需要がある。家庭用では新たな付加価値提案が進む。

全国パン粉工業協同組合調べ(農水省・食品製造業の生産動向)によると、2017年のパン粉生産量は1~9月までで12万1339t(前年同期比2・0%増)。16万t台に乗った2016年を上回るペースだ。冷凍食品、外食、内食での需要拡大が下支えしている。ユーザーからはコストパフォーマンスの高い製品への需要も根強いが、機能性のある製品への需要も高まっている。引きつづき、「最終製品への経時変化への強さ」は求められており、「時間がたってもサクサク」、「レンジアップしても食感が良い」といった特徴ある最終製品の製造に向けて、各社が技術で応えている。

家庭用は数量ベースで見ると厳しい状態が続く。その中、フライスターの「時間がたってもサクサクパン粉」が好調。時間がたってもサクサクした食感が残る特性が、徐々にリピーターを広げている。日清フーズの「小麦粉・卵いらずラク揚げパン粉」はスマッシュヒット商品となった。8月には家庭用パン粉市場で、売上金額トップの商品になっている。家庭でも「経時変化への強さ」や「簡便」といったニーズに応えることで、これまでにない商品展開が進んでいる。

パン粉業界全体で「コスト競争」からの脱却が進む。コストパフォーマンスの良い商品へのニーズは引きつづきあるが、各社とも付加価値商品の提案により、「利益の出るパン粉屋」への舵取りが進む。

〈食品産業新聞 2018年1月11日付より〉