ニチレイフーズ家庭用、2年連続50億円増収 チキン・米飯が牽引

ニチレイフーズ・竹永雅彦常務執行役員家庭用事業部長
〈冷食の素材としての利用機会創造へ「不退転の決意」〉
ニチレイフーズの家庭用事業は17年度、引き続き好調に売り上げを伸ばした(「家庭用調理冷食」の売上高は前期比8.9%増571億5,700万円)。

調理冷食としては2年連続で50億円ほどの増収を記録、戦略カテゴリーのチキン加工品と米飯が牽引役となった。今期は新規需要の創造に舵を切った。素材としての利用機会の創造を目指して今春、カット済みサラダチキンを発売した。復活の兆しのある弁当カテゴリーでは、周年商品で新しいプロモーションを仕掛ける構えだ。竹永雅彦常務執行役員家庭用事業部長に聞いた。

同社は戦略カテゴリーのうち、チキン加工品と米飯に対して研究開発、プロモーション、生産性向上――について継続的に強化してきた。17年度はこれらがうまくかみ合ったという。2年連続50億円の増収はマーケットシェアを毎年1%ずつ上げていることになる。中でも17年度は「『本格炒め炒飯』が売上100億円を超えたことが一番大きな出来事」と胸を張る。米飯マーケットの伸長とともに自社成長する戦略図を描いた当時、マーケット全体が横ばいで炒飯市場の伸長に懐疑的な意見もあったが、他社も大型商品を次々投入する中で市場が拡大した。

唐揚げも新商品の投入に伴って市場が拡大したカテゴリー。「『特から』はあっという間に調理品の中でベスト10に入り、マーケット拡大に貢献した。炒飯に次ぐ柱をつくれたことが当社にとって非常に大きい」と話す。炒飯も唐揚げも「研究開発から調達、生産、販売営業まですべてが噛み合ったからこそ、実現した結果だ」と強調した。

なお設備投資としては、家庭用では昨年8月に関西工場の焼おにぎりライン増設を、今年2月に船橋工場の炒飯ライン増設を行った。業務用では船橋第三工場のチキン加工品ライン増設を行っている。

弁当市場は縮小傾向が続いていたが、17年度は1.8%増と下げ止まった。同社は10%ほど売上げを伸ばしたという。子どもをもたない女性の利用が伸びており、17年度は大人向けにシフトし、アボカドを使ったフライなど女性をターゲットにした商品を多く発売した。

プロモーションでは「お弁当にGood!」でCMの投入とネット動画による感動ムービー「届け愛情弁当!キャンペーン」を展開。告知動画は180万回、当選者3人のドキュメンタリー動画は130万回、再生を稼いだ。

竹永事業部長は「中食の充実や完全給食の増加など、環境は厳しいが、冷食で一番目的買いされるのは弁当で、冷食の3割弱を占める。積極的なコミュニケーション活動と魅力的な新商品は発売していきたい」と話す。

今期はミニハンバーグ発売50周年、からあげチキンが30周年となる。従来型の増量キャンペーンとは違った、新しい消費者還元策を提示していく考えだ。

市場減速も、4~5月は計画通り進捗今期足元4~5月の状況は計画通りに進捗している。ただし市場全体を見ると、28カ月連続で前年増を続けていた冷凍調理品マーケットは4月に前年割れとなった。昨年4月に各社プロモーションが集中した反動もあるが「新商品が十分に市場創造できていない。一過性ならいいが注視が必要」と身構える。

新商品の開発では、力強いカテゴリー政策の推進と新規需要創造への挑戦というテーマを今春も引き続き提示した。この2年は炒飯・唐揚げという主力分野に注力したが、今春は新規需要創造に軸足を移し、素材として冷食を使ってもらう「切れてる!サラダチキン」の提案に注力。流通の評価が高く配荷は広がったが、回転は想定を下回っている。

竹永事業部長は「素材としての利用はこれからの冷食の可能性を秘めている。不退転の決意で今後プロモーションに力を入れて認知を広げていきたい」と意気込む。

収益面については人手不足や米をはじめとする原料価格上昇への対応が課題となるが、「今は生産性を上げることで吸収していきたい」としている。

凍菜は需要急増に対応できずに欠品も生じた。この点「供給体制をどうしていくか課題。素材として冷食を使ってもらえる一分野と位置付けることもできる」などと話している。

〈冷食日報 2018年6月15日付より〉

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