タイ産チキン一部休売へ 原料・生産にコロナ禍が影響
タイ国内では新型コロナウイルスの感染拡大が継続し、冷凍食品工場で原料を安定的に調達できない状況となっている。生産工場でも入国制限による工員不足に加え、従業員のコロナ感染により安定的な稼働に影響が出ている。量販店の冷食売場ではから揚げにスペースを大きく割いており、デリカでもチキン類は主要商品となっている。タイ産チキンの休売による影響は大きく、流通ではタイ産の代替として中国産や国産のチキン加工品の商談を進めていくようだ。
タイ産チキン加工品を取り扱う冷食メーカーでは、すでにタイ製品の一部を休売している。メーカーによっては主力商品も当面の販売を停止する方針で、取引先には案内を始めている。休売予定の商品については、現在の在庫がなくなり次第出荷を停止する。
ある大手メーカーは休売時期を9月中旬と見込む。別の大手メーカーでは休売は決めていないものの、「供給の先行きは不透明だ」(メーカー担当者)と話す。
販売再開には、コロナ禍による工場の人員不足に加え、養鶏場からの原料供給の安定化が必要となる。メーカー各社は休売商品の販売再開の時期を、原料などの目途が立ち次第の案内になるとしている。
これを受けて、卸売でも代替製品の手当てに動いている。家庭用以上に業務用への影響が大きいと見る向きもあり、ある流通関係者は中国産や国産品のメーカーと商談を進める方針を明らかにしている。
ニチレイは8月23日に、グループのタイの生産工場について、タイ国内の新型コロナウイルス感染拡大の影響で生産体制に影響が出ていると発表していた。タイに生産拠点を持つのは、GFPT ニチレイ(タイランド)とスラポンニチレイフーズの2社。GFPT ニチレイでは、クラスターは発生していないものの生産を1週間程停止した。3日時点では生産を再開しているが、従前からカンボジアなどからの工員が集まらないため、人手不足が続いており生産体制は十分ではないという。
現地養鶏場でも人手不足は厳しく、原料調達への影響は避けられないと見られる。
なお、食品産業新聞社の「畜産日報」によれば、9月2日の国内の鶏肉仲間相場について「凍結品はタイ産が減少・高騰していることで、一部では国産への代替需要も見られる。タイ産は今後も工場稼働の回復が見通せない状況」としている。
参考図:「畜産日報」9月2日 国内鶏肉仲間相場
〈冷食日報2021年9月7日付〉