日清フーズ、社名を「日清製粉ウェルナ」に変更、会社としてのブランド価値蓄積を図る
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11月9日に開かれた会見で、小池祐司社長は「国内でもブランドと社名が一致していないため、それを一致させたかった。海外でも使えるようにする上でこれが最適だった」と語った。
日清フーズが日本国内で展開しているファミリーブランドは、「日清」「マ・マー」「青の洞窟」などがある。それぞれの認知度は高く、ブランドを知っていると答えた人は、「日清」は88.5%、「マ・マー」は91.6%、「青の洞窟」は68.9%となっている。
一方で、ファミリーブランドと社名が一致しなことは課題になっていたという。国内では「日清製粉グループ」のロゴを使用して商品を展開しているが、現在の社名の「日清フーズ」とは一致していない。国内向けファミリーブランドや海外向けブランド「Welna」とも異なっており、会社としてのブランド価値が蓄積されないという課題を抱えていたという。
今後、日本国内の人口は減少するため、海外戦略は重要な施策の一つになる。また、食の価値の見直しや、環境への社会貢献なども大切な取り組みとなる。そのため、コーポレートブランドを中心にブランドの価値を高めることは必要になっているという。
今回の社名変更で、各ファミリーブランドの評判をコーポレートブランドに還元させると共に、コーポレートブランドは一つのブランドに強みを集約させる。コーポレートブランドを軸に各ブランドがつながるようにし、シナジー効果を高められるようにする。
〈新たなブランド戦略も 市販冷食は売り上げ倍増を目指す〉
今回の社名変更のビジョンとして、「『Prime Meal Investigator(食の求道者)』に進化する」を掲げている。戦略を効果的に推し進めるためブランド戦略も見直す。今後は、「事業構造の転換」や「価値の創造」、「海外展開の深耕」の3つの戦略に取り組む。
「事業構造の転換」は、高いシェアを持つ常温家庭用商品をより切磋するとともに、家庭用冷凍食品や常温と冷凍を含めた業務用商品の更なる売上増を図る。
家庭用冷凍食品は、フォーや担々麺など新ジャンルの展開を強化し、高い支持を得ている個食パスタと共に更なる成長を図る。将来的な売上は倍増を目指しているという。
業務用は、今後のコロナニーズを踏まえた自社ブランド商品の展開に力を注ぐ。コロナ禍に内食や中食へシフトした需要は、徐々に中食や外食に戻っている部分もあるという。しかし、今後はコロナ禍に根付いた価値観がすべて消えるのではなく、そこに基づいた消費行動に変化するとの見方から、変化した外部環境に合わせた展開を行う。
「価値の創造」として、健康訴求型製品の提案を進める。2019年から「機能性表示食品」の展開を行っており、今後は差別化された健康訴求型の商品として、小麦ブランに含まれる「発酵性食物繊維」に焦点をあてた新ブランド「ナチュブラン」を2022年に上市予定と、会見で明かした。
「海外展開の深耕」は、海外展開をより積極的に行う。これまでは、現地優位性を活かした製造中心のビジネスを行っていた。今後は、日本製の日清製粉ウェルナブランドの輸出品や、海外で作った商品の現地販売などを通じて、お好み焼きや天ぷらなど日本の粉もんメニューなどの浸透を図り、更なる売上拡大を目指す。
〈冷食日報2021年11月10日付〉