久世 春夏向け展示会2022、テーマは「外食新時代~原点回帰+α~」、“家庭で味わえない楽しさ”などで生き残り提案

久世 自社ブランド「make!t(メイキット)」紹介の様子
久世は3月8日、池袋サンシャインシティ文化会館の展示ホールで春夏の久世展示会を開いた。9日まで2日間の開催。

前年秋の展示会に引き続きテーマを「外食新時代~原点回帰+α~」とした。外食市場が縮小すると見られる中、価値あるものは生き残り、発展するとの信念をもって前進していく考えだ。食の楽しさを感じてもらえる付加価値提案や、FL(食材・人件費)コストの低減につながるオペレーションを改善する食材を提案。またテークアウト・デリバリーなど提供方法や環境意識の変化にも対応した。

久世真也社長は開場前の記者会見で「外食マーケットは70%ほどになると考えているが、外食・観光レジャー産業は多くの雇用を抱え、経済規模も大きく、豊かな人生という観点からも非常に重要だ。人は食を囲み、信頼関係や偶発的な出会いを生んできた。外食が非日常的な体験による思い出を作っていくことに変わりはない。昨年末の市場は非常に活況だった。オンラインの世界だけでなくリアルの世界に需要はあると思って前進していきたい」と意気込んだ。

今回は出展企業数177社(前回173社)、出展小間数191小間(同189小間)、アイテム数3,622品(前回3,105品)うちJFSA のPB 商品128品。来場者は2日間で3,000人を見込む。自社ブースでは『久世の食フェス!「誰もが喜ぶ自慢のスペシャリテ」』として“高付加価値”“効率簡便”“多様性”という3軸からコース仕立てでメニュー提案を行った。

消費者が外食に求めることは、家庭で味わえない楽しさだとして、贅沢感・特別感のある外食ならではのメニューを提案ポイントの1つとした。「特別感」「ボリューム/インパクト」「演出」をキーワードに挙げる。メニューとして「ハラミライスバーガー」や「リブステーキの軽い煮込みマデラソース仕立て」などを提案。メニューの価値を上げるアピールできる食材を提案するとともに、店舗利益につながる酒類の提案もワインコーナーを設けて行った。

調理現場における専門技術をもった人の減少や、食材価格の上昇を受けて食材コスト低減やロスの削減が課題だとして効率・簡便メニューを提案した。「作業の平準化・簡素化」「仕込み要らず」「使いたいときに使える」をキーワードに挙げ、骨取り切身を使った「アジと夏野菜の焼きマリネ」、ウニソースで風味付けした「ウニ香るフラン」などのメニューを提案した。

〈「メイキット」外食品質で差別化〉
多様化については提供方法の多様化と消費者の価値観の変化という観点から提案した。提供方法として店内飲食、テークアウト、デリバリー、ミールキットと、食シーンに合わせて提案。特にミールキットとして、自社ブランド「make!t(メイキット)」を初めて紹介した。

野菜、肉、たれをセットにした冷凍のミールキットとなる。特に仕上げのたれのほか、前段階で「旨味たれ」を使うのが特徴だ。下味を付けることで家庭料理にはないレストランの味を再現している。

第1弾として「鶏もも肉と5種の国産野菜の黒酢炒め」「豚バラ肉と5種の国産野菜のにんにく醤油炒め」など4品をラインアップした。現在一部スーパーで市販用にテスト販売をしている。また楽天市場に同社が運営する「make!t STORE」を開設して、各種食材とともに販売している。

久世社長は「当社がいろいろな食材に接触できる強みを生かして、(顧客である外食企業に)先行して経験しているということだ。コスト構造やロット、品管を含め複雑なノウハウがある。外食企業から開発の要望が出てきたときに提案できるようにしていきたい」と、あくまでも業務用事業のための取り組みであると強調した。

外食にできるSDGs として、食品ロス削減、動物性不使用、プラスチック削減、地球にやさしいプラスチック――を挙げて、大豆ミートを使用した唐揚げの提案や、バイオマスや木製原料を使用したノンフード商品を紹介した。

メッセンジャーアプリのLINE を使った新たな発注システムも紹介した。発注担当の各人がLINE から発注画面にログインして数量、納品日まで確定できる仕組みだ。昨年2月からエリアを限定して運用してきたが、この4月以降に全事業所で運用を開始する計画だ。

〈冷食日報2022年3月8日付〉