デイブレイク 特殊冷凍機の販売順調、特殊冷凍技術用いた食材販売も実施、認証制度も検討/木下昌之社長インタビュー

デイブレイク・木下昌之社長
特殊冷凍機の専門商社として、市場がほとんど無かった2013年から取り組みを進めてきたデイブレイク(東京都品川区)。

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機械の販売に加えて、導入支援や冷凍食材の販売も行っている。2021年10月には自社開発の特殊冷凍機「アートロックフリーザー」を投入し、約半年で200社近くから採用されたという。マイクロソフト社で実施しているスタートアップ支援「Microsoft forStartups」にも選ばれ、更なる事業拡大に意欲を見せる。また、拡大傾向にある特殊冷凍機市場のシェア確保に向けて、社内の体制強化や、デイブレイクの顧客同士でつながれるコミュニティーなどの施策も行っている。木下昌之社長に現状や展望を聞いた。

――冷凍市場が広がる中、さまざまな所で特殊凍結への注目が集まっています。現在の市場をどう感じていますか。

冷凍に関する市場は着実に広がっていて、飲食店でも自店で冷凍した商品を販売しているほか、食材の生産者が自分たちで作った食材を凍らせて販売するなど、裾野は広がっている。フードロス削減の観点でも注目されるようになった。例えば多く採れた食材ならば、今まで捨ててしまっていた食材を冷凍して保存でき、いつでも提供できるようになる。食材が採れないことによる機会損失も減らせる。この冷凍が広がっている今の時流にうまく乗れているかで売上も大きく異なると思う。

導入したいという相談件数は増えており、昨年10月に発表した特殊冷凍機「アートロックフリーザー」も発売から3カ月で受注台数は100台を突破している。冷凍機としてはかなり順調だと感じている。

――現在の取り組みは。

機械を売ることがゴールではなく、そこからがスタートと考えている。そのため、機械を導入していただけた際のサポートや、食材の販売、新ビジネスの設計などさまざまなことを行っている。機械の使い方のレクチャーは、冷凍機をうまく使えているかどうかで、品質に大きな差が出るため行っている。当社の調べでは特殊冷凍機を購入した企業の3%ほどしか機械を上手く扱えていなかった。また、凍結だけでなく、解凍の仕方でも食材の品質は変化してしまう。そこで、食材の価値を最大化できるよう、適切な使い方をレクチャーするなどの施策を行っている。ただ凍らせれば良い訳ではないことを伝え、質の高い商品を作れるようにしたいと思う。

また、特殊冷凍技術を用いた質の高い食材を「アートロックフード」として販売している。今後は「アートロックフード」の認証の発行を計画しており、準備を進めている。一般的な冷凍庫で凍らせたものと、特殊冷凍機を正しく使って凍らせた商品では品質が明らかに違う。当社で定めた品質水準に達していれば、コンペにかけた際、絶対に負けないクオリティにあると考えている。実際、当社で販売の「アートロックフード」は、大手企業で食材として採用されたほか、コンビニやスーパーの一部店舗から冷凍フルーツを採用していただけて、現在販売している。業界内での認知は広がっており、いずれは一般の方にもこの認証を知ってもらい、安心につなげたい。

――2022年3月には「デイブレイクファミリー会」を発足されました。どのような取り組みですか。

ここでは経営者同士がそれぞれの経験などを持ち寄って商品の更なる品質向上を目指しているほか、商談も行っており、商品開発まで至った例もある。当社から特殊冷凍機を購入された企業約60社に参加をしてもらった。情報を欲している方も多く、非常に活気ある会になったと思う。アートロックフードの認証を取得した商品がブランドとして確立できるよう取り組み、将来的には1,000社規模にまでに広げ、マッチング商談会なども行えればと思う。

――フクシマガリレイと共同で「特殊冷凍専用プレハブ冷凍庫」を開発。きっかけは。

約1年前に先方と話をさせて頂く機会があり、その後「特殊冷凍専用プレハブ冷凍庫」開発を提案したところ賛同していただけた。品質劣化を最小化できるなど、保存に最適な製品になった。今後も何か一緒に取り組ませてもらえたらと思う。

――今後の取り組みは。

2年後にはアートロックフードの海外展開を行いたいと考えている。トレーサビリティなどを確立させ、質の高い商品を展開できればと思う。

また、「アートロックフリーザー」のIoT 化も計画している。マイクロソフト社のスタートアップ支援プログラムに採択されており、そこから提供されるリソースやビジネス支援を活用し、取り組んでいく。さらに、ホログラフィックコンピューター「Hololens」を使ったリモートメンテナンスサービスも検討している。MR(複合現実)技術を活用し、リモートによるメンテナンスサービスなどを行えればと思う。

創業当初に描いていた構想が、体制が整い始めて一つひとつできてきている。冷凍市場自体への評価も上がっている。会社としての基盤を改めて作り、創業10周年の頃には良い形になればと思う。

〈冷食日報2022年5月31日付〉