クローズアップ 輸入ウイスキーNo.1ブランド「ジムビーム」〈中〉 2018年、新たなステージに駆け上がる
17年。「ジムビーム ハイボール缶」は6月にリニューアルして、すっきりとした爽快な味わいとした。しかし、これも順風満帆で来たわけでは決してない。「そもそも缶というSKU の存在が非常に大きくなっています」と秋山課長は語る。
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つまりこういうことだ。「角ハイボール缶」の発売の背景を振り返ってみよう。ウイスキーを缶で飲むというのは、それまでは「白角」水割缶くらいしかなかった。基本、瓶で飲むことを前提にしていたわけだ。そして、ハイボールという飲み方を通じて、“飲食店でジョッキハイボールを飲んでおいしかった”という方に“自宅でもつくって飲んでくださいね”という訴求だった。しかし、家庭でグラスを用意して、氷を入れてといっても、ハイボールの作り方は意外に簡単ではない。ユーザーは首を横に振り、ここでストップしてしまう恐れがあった。サントリーは、飲用時品質、つまりこの場合「おいしいハイボールを提供する」というのが一番のファクターだと考えている。提供時にお酒感の濃いものができたり、炭酸が効いていなかったり、ということがあってはならない。ここで「おいしくない」となると、入り口を閉じてしまうことになるからだ。
つまり、まずは家庭でもおいしく飲んでもらうには、最初からすでに完成しているものを飲んでもらう方が良いことになる。しかも200円くらいで気軽に飲める。サントリーが缶にもしっかり取り組んでいる所以だ。なお、言うまでもないが、ハイボール缶のおいしさ・飲み飽きなさ・満足感は、チューハイなどのRTD に長年取り組んできた知見が活かされているからこそでもある。
話を元に戻すと、角ハイボール缶の成功は、「角瓶」という本体があって、あの亀甲型のボトルのイメージがあって初めて成り立つものである。「ジムビーム ハイボール」缶は、6月のリニューアルで3代目になるが「1代目・2代目は、計画通りにはいかなかった、というのは、何かしら足りない部分があったのだろう」と振り返る。
初代は「ジムビーム シトラスハイボール缶」だ。初動は良かったが、じきに「これならチューハイでいいよね」となった。つまりグレープフルーツチューハイのイメージだった。「その割に、結構アルコール感が強いよね」という意見もあり、基本的にポジショニングが逸脱していた。
2代目では、バーボンのハイボール缶という本格感を打ち出した。それこそ「角ハイボール」の隣に並ぶような置き方だった。しかし、「角ハイボール」に比べると、「ジムビーム」はまだまだ王道的な存在とはいえない。バーボンは、“飲みにくくてきつそう”というイメージがある。“ものすごく濃いのではないか”と敬遠されてしまった。
そこで、6月のリニューアルでは、もっとエントリー層に寄せた。気軽に手にとってもらえるよう、中味もスッキリとして飲める、ただし、ちょっとクセになるような、バーボンの味も残っている、というくらいの立ち位置に修正した。缶のデザインもシズルが立っているものにして、軽快にしてハイボールという文言も入れた。度数も7%から、飲みやすさとお酒のバランスを考えて5%にした。価格も、もっとエントリーしてもらうために「角ハイボール缶」ではなく「トリスハイボール缶」に合わせた。
6月に刷新したハイボール缶
〈六本木ヒルズで「WHISKY HILLS 2017」を開催〉
11月17日から12月25日まで、六本木ヒルズで「WHISKY HILLS 2017」を開催している。そのイベントの一つとして、12月3日まで「JIM BEAMHILLS BAR」を期間限定オープンした。
六本木ヒルズ全体をジャック
内装は、新TVCM にも登場する蒸溜所や広大な大地を体感できる空間とした。ジムビームの世界観を体感してもらうために、蒸溜所の白木のイメージで本物感を感じもらう、また米国の広大な自然から生まれるスケールを感じてもらうなどをコンセプトとした。ドリンクメニューは「ビームハイボール」400円、「チルドハイボール」400円、「オリジナルコーラハイボール」500円など。「チルドハイボール」は、ウイスキーをマイナス13℃まで冷やして提供。よりキレ味を感じ、杯数を重ねられる。また、ジムビームの持つバニラの甘みを引き立たるホットチョコレートやソフトクリームとのマリアージュも提案した。
ジムビームの魅力を体験
なお、12月25日までの期間中、六本木ヒルズの参加店舗28店で、イベントフライヤーを提示すれば“ジムビームハイボール”を1杯目200円で提供している。
〈酒類飲料日報2017年12月18日付より〉
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