国産ワイン好調で、2%増の着地を見込むーメルシャン代野社長が会見

メルシャン 代野照幸代表取締役社長
メルシャンは19日、「2017年活動総括説明会」を同社で実施。代野照幸代表取締役社長が今年の取り組みと見込みについて概略以下のように説明した。

なお、メルシャンの2017年は、国産6%増、輸入前年並み、トータルで2%増での着地を見込む。また、値上げに関しては「輸入原料の値上がりを受けざるを得ない状況にあるが、まだ検討の段階にある」と言及しなかった。

【ワイン市場について】 9月までの課税を見ると、酒類全体ではフラットだったが、長雨や冷夏、改正酒税法などの影響を受けたビール類が苦戦。一方、RTD、ウイスキー類、ワインは伸長した。ワインは昨年不調だったが、今年は堅調に回復しており、国産4%増、輸入2%増、市場全体で2~3%の拡大を見込む。傾向としては、国産ワインが好調だが、輸入ワインは一服といったところ。この数年、市場をけん引してきたチリワインだが、「動物ワイン」が登場してから価格競争が激化。総需要にはつながらない状況だった。そんなチリワインに押されていた国産ワインも、さまざまな切り口で新商品を投入したことにより、勢いを取り返した。輸入ワインはチリが3年連続で一位になりそうだが、低価格だけでなく、中・高価格も期待できる。また、中価格帯以上にあたる日本ワインも順調に伸びており、ワイン市場の二極化、三極化がさらに進みそうだ。

【シャトーメルシャン】 日本ワイン140周年の節目にあたった今年も、フラッグシップブランドとして育成する取り組みを強化し、1~11月で8%増と伸長。香港への輸出も開始し、輸出は前年比36%増と拡大している。長野県の塩尻市と上田市に2ワイナリーを新設し、日本ワインの生産力を2倍に高める。生産農家との交流会も4年目に入った。生産者の高齢化が進む中、自社管理畑をどう増やしていくかが課題。合計約40ha の自社畑を、2027年までに76haに拡大するつもりだが、スピードアップしていかねばならないと思う。「シャトーメルシャン東京ゲストバル」には今年4万人が来店。2014年からの累計では16万人を突破する見込み。9月には「シャトーメルシャンクラブ」を開設し、会員数は25万人を数える。ただメールを送るだけでなく、作り手との交流やファン同士のコミュニティ化も企画。

〈「カッシェロ」13%増・「無添加」5%増、来年は流通とのタッグを強化〉
【主要ブランドの動向】 リニューアルした「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」は5%増。糖質制限ニーズにこたえた新商品も寄与し、11年連続で販売金額を更新の見込み。品種にフォーカスした輸入デイリーワイン「ワールドセレクション」は、2月の発売から10カ月で年内目標の10万c/s を達成。狙い通りの推移だった。来年2月には南ア産のソーヴィニヨンブランを発売予定。よりセパージュにフォーカスし、ワインの啓もう活動を続けていく。「カッシェロ・デル・ディアブロ」は13%増。交通広告をはじめ、夏限定パッケージやハロウィン時期に旗艦店をオープンするなどの施策が功を奏した。

低価格チリワインの攻勢で苦戦していた「フロンテラ」も2%増と水面上に出た。5月には累計で5000万本を突破。昔からのファンを大切に、10品種というバリエーションも活かしながらさらに活動を強化する。

前年まで苦戦していた「アルベール・ビショー」も、大橋健一MW による全国でのセミナーなどの活動強化で前年並みまで持ち直した。

【次年度に向けて】 ワインは生活に定着し、今後も中長期的に伸びていくだろうし、来年もやり方次第で必ず伸ばせるはずと楽観視している。そのためには、高価格のワインを売りたい流通とのタッグがポイントになるだろう。

ハイボールやチューハイなどの強豪が多い居酒屋ではなく、ワイン専門業態への活動を強化し、中価格帯を売れる仕組みを考えていきたい。

【焼酎・梅酒】 焼酎は業務用甲類が好調で市場を上回る予定。まっこい梅酒は前年を維持。

〈酒類飲料日報2017年12月20日付より〉