誰でも簡単に熟成肉を製造できる「エイジングシート」を開発-明大&フードイズム

飲食店の企画・運営やコンサルティングなど手掛ける㈱フードイズム(本社:東京・港区、跡部美樹雄社長)と明治大学は21日、産学連携事業による共同開発により、熟成肉をドライエージングなど従来の熟成方法よりも迅速・低コストで製造することができる「エイジングシート」(=写真㊤、特許出願中)を開発したと発表した。両社のジョイントベンチャー企業である㈱ミートエポック(本社:神奈川・川崎市、跡部美樹雄代表)で製造・販売を行う。

従来のドライエージング法では熟成庫を整備したうえで、熟成庫内で自然に付着する胞子からカビを増殖させるため、長時間(約100日間)かけてじっくり熟成させた。その半面、コストの増大や品質の不均一化、腐敗菌の増殖などリスクもあった。今回開発された「エイジングシート」は、肉の熟成に利用できる人体に無害なカビを純粋培養し、そこから回収した胞子を滅菌した50×100㎝の布袋(=写真㊥、レーヨン製、いわゆるミートラッパー)に付着させたもの。これを商品に包むことで、熟成に必要なカビが短時間で増殖するため、腐敗の防止と肉の熟成が促進されることで、従来の3分の1の時間で仕上がるという。専用の熟成庫を設ける必要もなく、業務用の冷蔵庫などを使って約30日間で熟成肉を製造することが可能となり、外食や専門小売店などで取扱いの広がりが期待できそうだ。

この「エイジングシート」の販売のほか、フードイズムではこれを使って製造した熟成肉を「醗酵熟成肉」として販売する。取扱い店舗に「醗酵熟成肉認定店」のステッカーなどを掲示することでブランド化・差別化につなげたい考えだ。

跡部社長(=写真㊦)は「これまで熟成肉は(価格や供給量の制約から)層が広がり難かったが、この『エイジングシート』を使うことで、よりスピーディーに安定した品質で熟成肉を製造することができる。豚肉や鶏肉にも使用でき、このシートを使ってより広い層に熟成肉を味わってもらえればと考えている。極端に言えば家庭の冷蔵庫でも熟成肉をつくることも可能だ」「1枚で20㎏の熟成肉が製造でき、月間800枚のシートを生産できる体制を取っている。ただ、シートを製造するには一定のコストがかかるため、ある程度の販売量が見込まれる事業者との取組みができれば」と期待感を示している。

これに先行する形でファーストキッチン㈱(本社:東京・新宿区、柴関修社長)では10月26日から全国のファーストキッチンおよびファーストキッチンウェンディーズの計125店舗で3種類の「醗酵熟成肉和牛バーガー」(約4万食限定)を販売する。また、サービスエリア・パーキングエリアの商業施設の管理・運営を行う中日本エクシス㈱(本社:愛知・名古屋市、青山忠司社長)では、10月6日から東名高速道路の港北パーキングエリア・フードコート(下り)で「熟成和牛ローストビーフセット」など3種類を、11月1日から名神高速道路EXPAsA多賀(下り)のステーキ店「近江多賀亭」で「熟成和牛サイコロステーキ」など3種類を販売する。