大阪で新春年頭会議を開催—日本ハム・ソーセージ工業協同組合 関西支部
日本ハム・ソーセージ工業協同組合関西支部は23日、大阪市内で新春年頭会議を開催した。会議には組合員各社の社長らのほか、来賓として日本ハム・ソーセージ工業協同組合の宮島成郎専務理事、日本食肉加工協会の塩島勉専務理事らが出席した。
冒頭、小森嘉之支部長(丸大食品会長)が年頭あいさつとして、「新年から株価が上昇するなど少し穏やかなムードが続いているが、アメリカを除く11カ国での環太平洋経済連携協定(TPP11)やEUとの経済連携協定(EPA)などもまだまだ不透明な状況が続いている。このような中で業界を取り巻く環境は厳しいと思っている。(加工食品の)原料原産地の表示が開始となったが、各社個別に対応するのではなく、こういう時こそ業界が団結して対応していくべきではと思う。そのためには会員各社から協力、支援をいただかなければいけない」と述べた。
次いで、副支部長・常務理事会社の代表者が年頭のあいさつを行った。要旨は次の通り。
▽伊藤ハム・柴山育朗社長=支部長から不透明という話があったが、昨日の東京の天気もまさに不透明であった。当社は15時頃に早期退社を促進したが、寒空の中で何時間も待つ人も出た。その選択が正しいのかは、経営判断と同じで難しい。そういう難しい判断をする局面が日常にもあると感じた。漁獲量が不安定な中、食肉に需要が移り、ハム・ソー業界の生産量も一定量を保っている。取り組んでいることは世の中のためになるということで、さらに邁進していきたい。
▽日本ハム・前田啓次執行役員営業本部量販事業部長=昨年を振り返ると、日本企業の業績は幅広い業種で改善が進んでいる。景気は穏やかながらも良くなっており、東京五輪までは景気は安定的に推移すると言われている。一方、われわれの業界はまだまだ楽観的な見通しは立っていない。加工食品は原材料の高騰、運送費や人件費が高くなってきた。
それに加え、加工食品の原料原産地表示によってコスト高となり、本当に厳しい環境が続いていると感じている。その中で、非常に連携力がある関西支部がしっかりと連携することで、顧客の満足度を上げて、難局を乗り切ってゆきたい。
▽プリマハム・松井鉄也社長=昨年は久しぶりにハム・ソー(生産)の前年対比が良く、当社でも112%と好調であった。また、サラダチキンが非常に売れている。しかし、その影響で鶏のムネ肉が非常に高くなっている。当社も多くのサラダチキンを出しているので非常に困っている。今年も良いことも悪いこともあると思うが、業界全体で頑張って業績が良くなるように取り組んでゆきたい。
▽丸大食品・井上俊春常務執行役員=6年ぶりにこの場に戻ってきた。(業界は)6年前と比べて競争が激化しており、今後もさらに競争は続くかなと感じている。競争があるから業界が発展するが、競争が過度になると疲弊してゆく。当社も多角化の中で、グループ会社はそれなりに業績を上げているが、ハム・ソーは利益の面で厳しいものがある。消費者、得意先にとって、中長期で見て良くなる、商品施策を取っていかないといけない。
▽タケダハム・竹田清社長=この会議に出てくるとみなさんから元気をいただける。今年、タケダハムが設立して60年になる。業界もますます厳しくなるが、先輩各位が育ててこられたこの業界がますます発展していくことを陰から見守りたい。
▽フードリエ・石野克彦社長=競争は厳しいが、競争しながらも協調して、業界の発展を期していきたい。最近つくづくと感じるが、気候は昔に比べて振れ幅が大きくなり、変化のスピードも大きくなっている。また、技術的な面でもビットコインなどどう関与していくか分からないような変化が起きている。業界ではそれまで大きな変化はなかったが、EUとのEPAなどは実際に動き始めると大きな変化になるような気がする。大きな変化にどう対応するのか、業界が組合を通じて一丸となって対応していけるように頑張っていきたい。
〈畜産日報 2018年1月25日付より〉