〈コラム〉秋田の自腹(じばら)~めん 胡桃屋 肉玉そば イカ天入り(900円)

広島で「広島焼」というと注意を受ける。都市伝説のようなものだとおもっていたが、お好み焼き屋に連れて行ってもらった先輩にぽろっと言ってしまったところ、広島弁で「これがお好み焼きじゃけぇ、注意しんさい」と指摘を受けた。関西生まれの私からすると、少しモヤモヤする。

「麺業界」なのになぜお好み焼きなのか、だが理由は明確。とにかく麺が美味かったのだ。東京でも何軒か訪れたが、まさに別格。お好み焼きの中で埋もれずに麺が麺たる部分をしっかりと残しつつ、お好み焼き全体と調和しているのだ。これまで食べてきたものとは一線を画するものという印象だ。ベタつかず、もちもちプリプリな口当たりと、縁のカリカリ感がなんとも言えない幸福感を演出してくれる一品。

甘口のオタフクソースとネギをたっぷりとかけて、鉄板で温めつつビールをいただきながら食べていたらいつの間にかなくなっていた。関西生まれの自分の中のお好み焼き像が少し、ぼやけるほどの思い出であった。【胡桃屋】広島市中区八丁堀8-12今本ビル2F

※食べた人:秋田。和酒担当記者として全国を駆け回るかたわら、めん探訪を欠かさない。最近泳ぎまくっている。

〈月刊麺業界2017年11月号より〉