チルドめんは復調傾向「鍋用ラーメン」好調、新製品も―東洋水産
17年夏季は関東エリアで長雨が続くなど、天候に恵まれなかった。冷し中華をはじめとした夏物商品に大きな影響があったが、同社ではその他の商材がカバーする結果になった。「雨で外出を控えた結果、家庭内調理が増えたのでは」と営業統括部低温食品部の松本健司次長は分析する。今年2月には「ざるラーメン」のつゆをリニューアルし、北海道・東日本・西日本の、それぞれのエリアに合っただしに変更した。このリニューアルが奏功し、全体に厳しい中、ざるラーメンが伸長した。
また、「マルちゃん焼きそば 極み太麺(2食入り)」シリーズが好調だ。基幹商品である「マルちゃん焼きそば3人前」とは違っためんを使用し、もちもちとした弾力のある食感が特徴だ。「3人前との住み分けができているのでは。3人前はファミリー向けの味、2食入りは外食店のような味をイメージしている」と語る。この秋も好調は続いており、今後が楽しみな商品だ。
秋冬では「コクの一滴」シリーズを新発売する。「芳醇コク醤油」「濃厚まろやか味噌」「深み醤油豚骨」の3品で、味噌は北海道産のちぢれめん、醤油はストレート細めん、醤油豚骨は太目のストレートめん、というように、それぞれのスープに合っためんを使用している。だしは自家製で香味油もフライパンで熱して自社でつくっているというこだわりぶりだ。「最後の一滴まで飲み干せるようなスープを目指した」とする。「外食のラーメンも価格が上がってきている。プレミアムフライデーや働き方改革などで帰宅時間が早まれば、自宅で本格的なラーメンを食べることも増えるのではないか」と語る。12月には新商品として「香味担担麺」を発売する予定だ。
コクの一滴 香味担担麺 2人前
〈「おいしさ」重視で〉
また、冬商材では「鍋用ラーメン」も好調だ。10月後半から一気に動き始め、前年比20%増で推移している。今年は葉物野菜の価格も落ち着いており、早くに気温が下がったことも影響しているようだ。この9月には新商品として「鍋用半生うどん」を発売した。下茹でが不要で、鍋のつゆを吸ってさらにおいしくなる。特に西日本を中心に引き合いが強い。
チルドめん市場については「徐々にレンジめんが定着してきた」という感想を持つ。毎年数字を伸ばしており、このタイミングで「認知度を高めていきたい」とする。「確実にヒットしており、リピートもある。まだレンジ調理を経験していない人においしさと簡便さを伝えていきたい」と考えている。
また、健康志向商品の需要も感じている。「生めん市場のパイは決して大きくはないが、今後は広がっていくのではないか」と予測する。減塩・糖質オフ商品も展開しているが、こだわりたいのは、やはり「おいしさ」だ。「おいしさにこだわって作ることが、業界そのものの底上げにつながる」とし、健康志向ながらも、リピートが生まれるおいしさを追求していく。
〈月刊 麺業界2017年12月号より〉
鍋用半生うどん 2袋入