昭和産業、「マローネ」西山シェフ講師にベーカリーセミナー 実演通じて「美味しさ」と「効率化」両立のノウハウ紹介

昭和産業(株)・国領順二執行役員製粉部長
昭和産業(株)(新妻一彦社長)は25・26日、「2017年ベーカリーセミナー」を同社船橋工場内RD&Eセンターで開催した。講師は、茨城の人気ベーカリー「ポケットファームどきどき パン工房マローネ」の西山重明シェフ。当日は、昭和産業(株)の業務用粉「Kainos カオノス」「オホーツク」「C blanc シーブラン」「Bruciare(ブルチアーレ)」「SR-1」を使用したパン約10種を実演・試食を通じて紹介。

「パン工房マローネ」は、人気店でありながら、約100種類のパンをスタッフ3人で製造しており、時間短縮・簡便化・効率化の秘訣も紹介した。開催に先立ち、昭和産業(株)の国領順二執行役員製粉部長が挨拶し「『パン工房マローネ』は効率化にも気をつかい、多くの種類のパンを少人数で製造している。ここには西山シェフのノウハウ・秘訣が隠れている。リテイルベーカリーにおける1時間・1人当たりの生産数はだいたい6,000個だと聞くが、西山シェフの店はその倍くらい作っているのでは。今回、人材難における美味しさと効率化への挑戦の取組み、労働力不足の中で効率よく美味しいパンをどのように作るのかを紹介してもらう」と述べた。

実演では、“食パン再生”として「ラ・パンペルデュ」(フレンチトーストタイプ・キッシュタイプ)を紹介。「食パンはパン屋の軸であることから、閉店まで切らすことなく並べて欲しい。例え残ってしまっても、食パンを再生して作った『ラ・パンペルデュ』は次の日も提供することができる」(西山シェフ)とロスゼロの工夫を紹介。このほか、米粉チャバタ生地を使ったレシピ(プレーンチャバタ、プレッツェル等)や、米粉バゲット、リ・ミックス生地(冷蔵生地のミキシングをやり直す方法で作った生地)で作ったレシピ(クランベリーとくるみ、ドーナツ)、パネオッシュ生地のレシピ(コロネ、メロンパン)等を紹介。「当店では、コロネやメロンパンは焼成後に冷凍し、店頭に出すときに解凍している。メロンパンは昭和産業(株)のメロン皮ミックスを使用している。このミックスは、卵と水を入れるだけで生地ができるもので、ホイロにも入れることができ、回転アップに繋がる」とアドバイスも交え紹介した。

この他、効率化のヒントについて「人手が厚い時は、ドーナツなどを冷凍してストックしておく。そして、人手が薄いときは仕込みを少なくし、仕事を平準化するように工夫している。また、業務が早く終わった日には、パン作りを学ぶ自由な時間に充ててもらい、失敗を減らすことに繋げてもらう」。

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昭和産業(株)の業務用新製品「ラップミックス H-222」、当日使用した業務用粉についての紹介もあった。

〈ラップミックス〉

水を入れてホイッパーで混ぜるだけで、モチモチ食感のラップが完成する。菓子・惣菜・生野菜など多彩な具材が使用できる。約15分で出来上がるため、棚が空いた夕方の時間帯や手間をかけずに品揃えを増やしたい時にぴったりな製品。新奇性のあるメニューを増やしたいというニーズにも応える。

〈セミナーで使用した製品紹介=同社商品開発研究所の佐藤元洋氏〉

「オホーツク」は、「春よ恋」を主体に北海道産小麦を100%使用した小麦粉。グルテンはDNSや1CWに近い性質を持つ。伸展性があり製パン性の高く、もちもち感をしっかり表現できるのが特徴。「SR-1」は、特殊な粉砕機を導入し、デンプンの損傷度を高めた米粉。水分の吸収度は、通常の小麦粉の倍、デンプン損傷度の低い米粉の4~5倍であることから、パンにした際のしっとり感が期待できる。ミキシング体力を図る試験では、通常の小麦粉と同等のミキシング体力があることが分かった。パンの固さも測定。柔らかさがありながら、経時変化にも強いという結果が出た。

「カイノス」はしっとり感とボリューム感が特徴。「Bruciare(ブルチアーレ)」は、甘みや発酵風味が出しやすく、パン生地そのものを味わう商品に使用すると特徴がでる。

〈米麦日報2017年10月30日付より〉

昭和産業、「マローネ」西山シェフ講師にベーカリーセミナー 実演通じて「美味しさ」と「効率化」両立のノウハウ紹介

実演の様子(奥が西山重明シェフ)