【食品産業技術功労賞特集】④明星食品「即席麺市場における低糖質麺の普及」
第47回食品産業技術功労賞の連載4回目は、「マーケティング部門」に輝いた明星食品(株)(松尾昭英社長)の「即席麺市場における低糖質麺の普及」。同社は他社に先駆け、即席麺市場で初となる低糖質カップ麺を発売した。2015年に一般的なカップ麺と比較し糖質を50%オフした「明星 低糖質麺 はじめ屋」「同 ローカーボNoodles」を上市。使用している低糖質麺は、小麦粉と難消化性でんぷんをブレンドすることで、小麦粉由来の麺のおいしさを保ちながら糖質50%オフを実現している。プロモーションとしては、市場定着を図るべく、売場作りの提案や品質アップの取組みを随時行う。これらが奏功し、即席麺市場では発売から1年が経つと消えてしまう商品が多い中、同商品は発売から約2年が経った現在も問合せが途切れないなど、市場定着が進んでいる。
〈受賞の概要〉同シリーズの商品設計については、「はじめ屋」はこってりとした濃厚なスープが特徴で、“ラーメンが好きだが糖質も気になる”という人も満足できる商品。「低糖質商品は味が薄かったり、不味いのではないか」というイメージをもつラーメンファンに向けて、糖質をしっかりオフしながら、こってりとした味わいが楽しめる商品として展開。一方「ローカーボNoodles」は、普段あまりカップ麺を食べないライトユーザーに対して提案したもの。糖質50%オフに加え、低カロリー(200kcal 以下)が特徴だ。また、糖質50%オフと、他の商品よりも糖質を多くカットしているのも特徴だ。
ここまでの動きについて同社は、「先発メーカーのため手探り状態。答えがない中、売ってみては改善――を重ね、常にブラッシュアップしている。これらが奏功し手応えを感じている。売上のボリュームは決して大きくないが、問合せが途絶えない商品だ」とする。
〈受賞のコメント・松尾社長〉「健康を意識した食べ物は不味い」ということは変わってきている。健康的でも不味いものは食べない。例えば青汁はこれまで「まずいっ」といって売っていたが、今の青汁は「おいしい」とアピールして販売している。また、グルテンフリーの商品は不味かったが、最近ではグルテンフリーでも美味しいケーキなどが登場している。健康的かつ美味しく食べるにはどうしたら良いかのか。そこで出したのが低糖質麺シリーズ。配合や製法技術を工夫することで、味や食感は通常の即席麺と変わらない。
人の為ではなく、自分の為の商品でないと売れない。自分に為には、美味しいものしか食べたくない。お酒を飲んだ後のシメとして食べられるラーメンをテーマに発売したのが「はじめ屋」。ヘルシーかつ美味しいということが重要だ。食べることを楽しむのを犠牲にしてしまうと成り立たない。
飲料以外で糖質オフ商品はなかなか売れない。このような中、店頭コーナー化に力を入れている。普通の即席麺コーナーに並べられたり、特売にかけられてしまうと負けてしまうため、低糖質のパン等と一緒にコーナー化することを更に進めたい。糖質を意識している人は、基本はラーメンコーナーに立ち寄らない。本来素通りする人が、素通りしなくても良いよう取り組んでいきたい。
今後、65歳以上が人口の1/3を占めるようになり、ヘルスコンシャス向け商品は一般的になってくる。売場の3割がこのような商品でないと時代に合わなくなってくるが、ビジネスがついていっていない状況だ。コーナー化している店舗も増えてきてはいるが、更に進めていきたい。
〈米麦日報2017年11月16日付より〉
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