カレーなどに適した鳥取県オリジナル水稲新品種「プリンセスかおり」登場
「プリンセスかおり」(鳥系香122号)は「プリンセスサリー」を母に、「いのちの壱(龍の瞳)」を父に持つ低アミロースの香り米。カレーなどエスニック料理に適しており、母の「プリンセスサリー」の系統を遡るとインドの高級香り米「バスマティー370」に行き着く。「プリンセスサリー」の「プリンセス」と、特徴的な「香り(かおり)」から「プリンセスかおり」と名付けられた。細長い粒形でツヤと粘りがあり、ポップコーンのような香りがする。コシヒカリと比べると、稈長は短く倒伏にやや強い。アミロース含有率は2%以上低い。県庁によると、鳥取県はカレールウの消費量が全国でも高く、関係者からカレーに適した米を要望されたことを受けて、2010(平成22)年に県農業試験場で「鳥系香122号」を開発。29年産は田中農場(八頭町)、グリーン農園(鳥取市)で約1.5tを生産。30年産は「種苗として増産した分で作付増を目指していく。栽培したいと声をかけて戴いた農業者がもう1軒あるため、まずは県内で着実な普及を目指す」(県庁)。
現在は鳥取市内のレストランでカレー用に採用されているほか、来年1月上中旬からは県内飲食店で、カレー・タイ料理・イタリアン・中華などに使用する「プリンセスかおりフェア」を開催する。また、来年1月中下旬には県内でのPRイベントを予定しており、鳥取市が運営するインターネットサイト「とっとり市」、中嶋米穀(株)(中嶋秀雄代表)、田中農場などでも販売している。県外では25日から、東京のアンテナショップ「ももてなし家」(港区新橋)でフェアを開催、首都圏高級百貨店での宣伝・取扱なども検討中。
鳥取市内の米穀小売店・中嶋米穀(株)での販売価格は450g×3で1,300円(税込)。同社によると、「見た目はタイ米に近いが、もっちりと食べやすく、香辛料系の料理と合わせると味を引き立ててくれる。お客様からの評判は良い」。また県庁は「細長いため、脱穀や精米が通常の米よりも難しく、やや高めの価格設定になるのでは」と説明した。
〈米麦日報2017年12月21日付より〉