パンに向く米粉を追求、大型粉砕機の生産能力を小型機で実現 西村機械製作所の挑戦
西村機械製作所は1934年に創業。西村工作所として穀粉や澱粉等の製造機械の制作を始めた。1964年に法人に改組し、現社名に改称。粉粒体機器を幅広く取り扱う。
西村元樹社長は2013年5月に現職に就任した。現在、注力する分野の1つに“米粉”がある。同社は米や小麦を粉体に加工するだけでなく、フルイ機や充填機などの製造も行っており、粉体のトータルエンジニアリングの技術の蓄積がある。
15年ほど前に米や和菓子の消費が減っている中、米粉パンの相談を取引先から受けた。「当時はスパイスや漢方薬向けの機械が伸びていた。穀物の仕事が減っている時期。難しいだろうなあという雰囲気も合って、やりたがる人は少なかった」と、西村社長は振り返る。
しかし、取引先の声に応え、パンに向く米粉を突き詰めていく。2009年には新規需要米の制度が整い、米粉用米や米粉の生産設備への助成金が始まった。その頃から米粉用の粉砕機の販売も拡大していく。
この間、西村社長は現場の「小型化ニーズ」に応える取り組みを続け、現在は時間当たり生産量7kgのフェアリーパウダーミルを展開。価格も約450万円まで抑えた。「大型の生産能力のある粉砕機と変わらない性能を小型機で実現するのは時間がかかったが、洋菓子店やベーカリーでも使っていただけるスペックと費用を実現した」(西村社長)。
2017年の新規需要米の米粉の生産量は過去最高を更新する見込み。西村社長はさらなる裾野の広がりを技術で支える。
〈食品産業新聞 2018年1月25日付より〉