道産小麦100%ピッツァ専用粉、プロにも披露=江別製粉

江別製粉・安孫子俊之社長
〈「ピッツァ ナポレターナSTG」規約準拠で5月末発売へ〉
江別製粉(株)(安孫子俊之社長)は19日、都内のピッツァ専門店に、プロのピッツァ職人・食品関係者等100名余を招き、国産(北海道産)小麦粉100%のピッツァ専用粉「100%HOKKAIDO=国産小麦使用のピッツァ用粉」の披露会を開催した。既に16日~18日、都内で開催された「国内産麦使用試作品 全国統一試食会・商談会」にも出展し、業界・一般向けにも披露している。

同新製品は、農林水産省補助事業「外食産業等と連携した農産物の需要拡大対策事業 新商品開発等事業」を活用し、ナポリピッツァの規約「ピッツァ ナポレターナSTG(伝統的特産品呼称)」に準拠したピッツァ用粉を国産(北海道産)小麦粉で開発するプロジェクトとして取り組んでいる。19日のプロ向け披露会で挨拶した江別製粉(株)の安孫子社長は、「当社は今年が創立70周年、そして北海道産小麦100%小麦粉シリーズを扱って30年になる。個性的な品種(品質)の北海道産小麦と、30年にわたってお客様に鍛えて頂いた製粉技術をベースに、今回の北海道産100%使用ピッツァ用粉の開発に取り組んだ。小麦の品質は毎年異なる中で、常にSTG規格に準拠した小麦粉を作っていくということは、ある意味、大変クレージーな取り組みとも見られるが、1990年に北海道産小麦100%シリーズを揃えた当時も、業界では奇異に見られた当社だからこそ、今回あえてピッツァ用粉の開発にチャレンジ。次の創立100周年に向け、この専用粉を送り出していくが、これがベストではない。お客様等の評価を頂き、この粉をさらに進化させていく機会にしたい」等と語った。

ナポリピッツァの国際規格とも言える「ピッツァ ナポレターナSTG」規約は、「本場イタリアでも輸入小麦を使用しているケースが多い」(関係者)ことから原料の産地限定はないものの、使用する食材の品質規格、薪窯使用、技法など細かく規定され、「ナポリピッツァ」を名乗るには、この規格を満たす必要がある。国産小麦粉では、蛋白含量に加え、吸水率(量)とのバランス規格を満たすのが非常に難しいとされている。

今回の北海道産100%ピッツァ用粉の開発を依頼したのは、お披露目会の会場を提供したピッツァ専門店「ピッツェリア ジターリア ダフィリッポ 石神井公園」のピッツァイオーロ・岩澤正和氏。岩澤氏は「昨年、イタリア・パルマで開催されたピッツァの国際大会に出場したが、ピッツァの味では評価してもらえたが、STG規格を満たせず失格という結果になった。そのため、どのような小麦粉を使えば良いのか、これまで取引のあった江別製粉に分析と開発を依頼した。日本における地産地消型でナポリピッツァを普及させるためにも、ナポリピッツァのスタンダードを知る必要を痛感した。今回開発してもらったピッツァ用粉の分析結果を持って、イタリアのピッツァ学校に赴き、チェック・検証・試食をしてもらい、味と規格クリアの評価を頂いた。今年4月には再びイタリアのピッツァ国際大会に出場し入賞を目指したい」等と説明した。

江別製粉では、北海道産の複数銘柄を使用して「蛋白含量と吸水率(量)の規格水準を確保できる最適な配合を探り出し、製品化を図った」(安孫子社長)。国内の分析結果に加え、イタリアの複数の専門機関に分析を依頼しており、国際大会の結果も待って、今年5末にも国内で販売を開始する予定。

同社では、既発売の北海道産100シリーズと新製品を合わせ新たに「100%HOKKAIDO」シリーズとしてブランドを強化する。また、3月6日~8日に千葉・幕張メッセで開催される「FOODEX JAPAN 2018/国際食品・飲料展」に出展し、北海道産小麦100%使用ピッツァ用粉をはじめ、「香麦」「ドルチェ」等の北海道産小麦粉製品を紹介し、各製品に合った二次加工品の提案を行う計画。

〈米麦日報 2018年2月21日付より〉

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