17年産米国大豆、平均たん白34.0%に低下、油分19.1%-米国大豆品質会議
開催にあたりUSSEC の西村允之日本代表は「この会議は米国産大豆に関する情報提供と、日米の情報交換の場となる。今年はソイオイルマイスター検定を実施し、80人のマイスターが誕生した。大豆油アンバサダーとして広めてほしい。来年もソイオイルマイスター検定を行う予定だ。また、USSEC では米国大豆のサスティナビリティ認証を行い、証明書の発行を行っており、20年東京五輪のサスティナブルな食材調達コードに対応すべく準備を進めている」とあいさつした。
続けて米国大使館のジェス・ポールソン農務官があいさつし、「米国大豆は日本が輸入する大豆の70%を占め、大豆搾油・飼料、豆腐や納豆など広く使用されている。今年からソイオイルマイスター検定が始まり、大豆油の良さの宣伝に期待している。これからも米国の大豆生産者は安全で安定的、環境に良い大豆を日本に届けていく」と述べた。
〈たん白分減少は8月の降雨不足が影響、北部・西部は高い傾向も-ネイブ准教授〉
会議では17年産米国大豆の品質について、ミネソタ大学のセス・ネイブ准教授が報告した。その中で17年産大豆の生育シーズンについて、4~6月の降水量は、中西部は適度な降水量で、作付に適した条件だったとした。気温は全体的に平均より高めだった。作付後の西部では降水量が少なく、東部、南東部ではやや過剰雨量となり、気温はほぼ例年並みで推移した。
生育期半ばから後半の7~8月は西部コーンベルトでは降雨に恵まれたとした。中部では収穫期まで乾燥天候が続き、東部コーンベルトでも降水量が少なかったとした。気温は全体では平年並みだが、中部で記録的な冷涼となり、収穫量、品質に影響を与えたとした。また北部ではひょうに見舞われ大きな影響を受けた地域もあったとした。9月には温暖な気候となったが、一部州では冷夏だったとした上で、「生産環境にばらつきがあり、州内でも気象条件が異なる。ただ広範囲で生産されているので、生産高は安定している」と補足した。
17年のたん白質と油分の含有量は、11月4日まで集めた約1,600サンプルを分析した結果、たん白分は前年比0.5ポイント減の34.0%、平均油分は0.2ポイント減の19.1%で、たん白分は低下し、油分は前年並みとした。ネイブ准教授はこの結果について、「アイオワ中部、イリノイ、インディアナ、オハイオではたん白分が低くなっている。北部や西部では地域によりたん白分が高くなっている。油分は平均で上がっており、特に中部コーンベルト、南部コーンベルトでは高くなっている」とし、8月に降雨量に恵まれた地域ではたん白分が高く、乾燥した地域ではたん白が低くなったとした。大豆が土壌中の窒素を必要とするため、乾燥すると窒素量が減るためたん白分に影響したとした。
地域別平均値は△西コーンベルト=たん白分34.0%、油分19.1%△東コーンベルト=たん白分33.9%、油分19.1%△中南部=たん白分34.4%、油分19.5%△南東部=たん白分33.9% 、油分20.3%△東海岸=たん白分34.6%、油分19.1%――となっている。また、食品大豆については、サンプル数が約140と少ないことを前提とした上で、たん白分は西部コーンベルトで35.5%~37.1%、東部コーンベルトで35.5%~38.1%と、全米平均よりは比較的高い数値が出ている。一方で油分は全米平均を下回る18%台前半のものが多い。ネイブ教授は、数値の差異は品種や産地の状況の違いによるものとした上で、正確な情報は輸出業者に確認してほしいと述べた。
〈大豆油糧日報2017年11月20日付より〉