菱熱工業「大豆ミートプロセッサー」販売、通常の半額ほどで導入可能な大豆ミート専用機、試作サポート事業も
すでに1台受注済みで、引き合いも数件寄せられており、年間5台の販売目標を掲げる。さらに、大豆ミートの作り方のノウハウを提供する「試作サポート」事業もスタートしており、年間1,000万円の事業に育成することを目指していく。
菱熱工業は長年、建設業や生産設備エンジニアリングを手掛けており、さらに機械メーカーでもある。生産設備エンジニアリング事業の6~7割は、大手メーカーを中心とした食品工場が対象で、一から建物を建て、食品工場向けのノウハウをもとに内装まで手掛けている。
機械メーカーとしては、製造現場の声を聞いた上で大手には作れない機械を、機械メーカーと共同で開発しているといい、「大豆ミートプロセッサー」もその一環で開発した。
大豆ミート事業に参入したきっかけについて同社は、「環境問題を中心に注目が集まっている植物たん白の時代が来ると思い、ノウハウを持っておいて、当社から提案できるように、大豆ミートプロジェクトを立ち上げた」と振り返る。昨年秋にはエクストルーダーを導入し、大豆ミートの試作会を開催すると40社集まったという。「食品メーカーが多かったが、ベンチャーや医薬系企業など、大豆ミートを手掛けたいというところは多く、自社で機械の開発を目指した」という。
〈形や食感を変える吐出部は受注生産に対応〉
エクストルーダーは元々、プラスチックの緩衝材やスナック菓子なども作れる汎用性の高い機械だという。「大豆ミートプロセッサー」は、「余分な機能をそぎ落とし、植物たん白専門の機械としてコンパクトにすることで、低価格化を実現した」と説明する。導入費用は搬入、据え付け、オプションのカッティング機械を含めて2,500万円と、大体4,000万円台というエクストルーダーの半額ほどに抑えられる。処理能力はエクストルーダーが約450kg/時であるのに対し、25kg/時となるが、設置面積は3分の2ほどに省スペース化を実現している。
また、エクストルーダーは食品専用ではないため、錆びる箇所もあるというが、同製品は食品工場向けにステンレス仕様にしている。カッティング機械は箱で囲っており、安全な設計となっている。製造面では、吐出部を変えることで、形や食感が全然異なる大豆ミートを作ることができる。標準機はミンチ、鶏肉タイプ、ホルモンタイプをそろえるが、お客の要望で吐出部の受注生産も可能だという。
「大豆ミートプロセッサー」は吐出部を変えることで、形や食感が全然異なる大豆ミートを作ることができる
「内製化して自社で研究すれば、さらにおいしく提供できると提案している」。同社によると、大豆ミートの原価はメーカー市販品で700円/kgだが、内製化した場合(人件費や加工費、機械の減価償却費などは除く)は312円/kgに抑えられるという。ちなみに牛肉との比較だと、産地や鮮度、ブランドにより大きく変わるが、500~700円/kgとしている。当社調べによる8月17日の輸入フローズン牛肉仲間相場は、トリミング(赤身肉の含有率65%)が760~790円(前年630円)で、半額ほどに抑えられる。
「試作サポート」事業については、「大豆ミートに参入すると決めても、機械が高額なので、まずは商品開発からスタートしたいというニーズもある。当社のラボで『大豆ミートプロセッサー』を自由に使ってもらい、お客の求める味を作ってもらうことができる」と説明する。同事業は1回15万円(初回は10万円)に設計している。月4回で50万円のお得なプランも用意している。
〈大豆油糧日報2021年8月23日付〉