植物性チーズ代替品「ビオライフ」業務用販売開始、“プラントベースド”の価値を訴求/J-オイルミルズ

「ビオライフ」を使用した試食メニュー
J-オイルミルズは10月19日、プラントベースドチーズ(植物性チーズ代替品)の世界的なブランド「Violife(ビオライフ)」の業務用プラントベースドチーズ4アイテムを販売開始した。家庭用は9月から、関東エリアでプラントベースドチーズ4品とプラントベースドバター(植物性バター代替品)1品を発売しており、大手スーパーなど複数の流通企業に採用され、SNS上でも好評だという。

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大高寛専務執行役員スペシャリティフード事業本部長は「競合の激しいチーズ売場でプラントベースドという価値を訴求し、ブランドを浸透させる」と意気込む。来春以降には全国展開も予定する。

10月19日に東京都中央区の「おいしさデザイン工房」で記者会見が開かれ、大髙専務が「ビオライフ」について説明し、同社所属シェフによる試食メニューも用意された。

J-オイルミルズ 大高専務

J-オイルミルズ 大高専務

 
米国では家庭用のプラントベースドチーズ市場は約177億円(2019年見込)で、過去3年の平均成長率は15%と大きく拡大している。「ビオライフ」は米国で圧倒的な棚効率を誇っているとし、「プラントベースドチーズ市場の拡大をけん引している」と強調した。
 
一方、日本のプラントベースドチーズ市場は約18億円(2019年見込)で、年平均成長率は9%で伸長しているという。ただ、日本のスーパーでは、バターやマーガリンに比べ、「チーズのSKUや新商品の数はケタ違い」としており、「チーズ市場に入り込んで、新しいカテゴリ、新しいブランドをつくっていくのは競争環境が激しく、しっかりとした骨太の戦略を作っていかないと、市場に定着させるのは難しい」と分析する。
 
※SKU=最小管理単位(容量違い・フレーバー違いなどを別個に数えたアイテム数)
 
J-オイルミルズでもプラントベースドチーズは2〜3年かけて開発していたが、世界最大級のプラントベースドチーズブランド「ビオライフ」で、市場シェアやカテゴリ認知度を高めることを目指したとしている。
 
業務用の展開については、カフェチェーンや外食産業、ピザチェーンのほか、もともと製菓・製パンに力を入れているため、ベーカリーやホテルなどにも提案しているという。
 
〈プラントベースドチーズは焼成後も糸ひき・とろけ具合など維持、プラントベースドバターは日本人好みを再現〉
J-オイルミルズは5月に、世界有数のプラントベースドフード企業であるアップフィールド社と、「ビオライフ」ブランド製品の独占輸入・販売契約を締結した。「ビオライフ」ブランドは、アップフィールド社の子会社で、植物性チーズの世界的パイオニアであるアリビア社(ギリシャ)が2013年に開発しており、現在では世界50カ国以上で販売されている。
 
「ビオライフ」を輸入するにあたって、2020年12月に消費者グループインタビューと家庭内使用評価テストを実施した。購入意向の満足度で高評価を獲得し、手応えを掴んだとしている。
 
「ビオライフ」のプラントベースドチーズは、乳やナッツを使用せず、ココナッツ油を使用している。特長として、焼成してから時間が経っても、普通のチーズのように硬くならないことを挙げる。ピザで試食評価すると、加熱後40分経過しても、糸ひきやとろけ具合、照りが維持されたことから、テイクアウトにも適した商品だとする。
 
プラントベースドバターは、ドイツのアップフィールド社のR&Dセンターで開発された。日本の売れ筋のバター2品の研究を重ね、ココナッツ油や、そら豆由来の素材など、植物由来の原材料だけで日本人好みのバターの味、風味、機能性を再現した商品だという。
 
業務用での展開も来春から予定している。なお、トランス脂肪酸については、動物性チーズが100g当たり0.48〜1.46g含まれているのに対し、「ビオライフ」のプラントベースドチーズは、スライスとクリミィが0.23g以下、シュレッドは0.24g以下だという。また、動物性バターは1.71〜2.21g含まれているのに対し、プラントベースドバターは0.3〜0.7gと、どちらも動物性より低い数値であることを説明した。
 
〈大豆油糧日報2021年10月20日付〉