【新春インタビュー】大阪堂島商品取引所・岡本安明理事長
–JA系統は相変わらずコメ先物に反対ですね。
岡本 「先物なんかに手を出すと身ぐるみ剥がされる」といった類いの一言で片づけられてしまうのは遺憾ですが、しかし伝わりやすい、分かりやすい言い方ではあるんでしょうね。逆にメリットを説明するほうが難しいですし。本来的には単協なり全農がヘッジするのが最もメリットが大きい。そういう設計になっています。まぁ今すぐ全農あたりに本格的にヘッジに出られたら、うちの取引所も耐えられないとは思いますが(笑)。だから今すぐではないにしても、10年や20年でなくもっと先の話として、コメ産業やそのなかでの取引所の役割のようなことを考えた場合に、必要性はご理解いただけると思うのですが。
例えば、輸出するのなら日本も長粒種を作ればいいなんていう話がありますが、私は違うと思っています。短粒種のほうがおいしいことを誰よりも日本人が一番よく知っているわけですし、そもそも今あるものを輸出するのでなければ戦略的な優位は得られません。一方で、今すぐTPPでコメが自由化されることはありえないでしょうが、方向性としては関税が下がっていくことは避けられません。そうなってからインフラ整備に臨んでも、もはや手遅れです。日本のコメを日本の取引所が価格発信してイニシアティブをとっていく、これこそが、現段階ではあまりイメージできないかもしれませんが、最も大事な役割だと思っています。
–つまり将来に備え、今のうちにインフラである先物を存続させていくことが重要だと?
岡本 例えばこれが金融商品であれば、3年も4年も試験してこの程度のニーズしかないのなら廃止という選択肢も、分からなくはありません。しかしコメは特別なものです。主食であるということもありますが、明らかに時間がかかります。1730年から昭和14年まで209年間も脈々と相場を形づくってきたわけですが、それから72年も間をあけて上場されました。さすがに「オレ以前やってた」という人はおらず、せいぜい「おじいちゃんやお父さんから聞いたことはある」程度でしょう。つまり経験則が活かせない。加えてアレルギー的な要素も無視できません。時間がかかるのは当たり前と言えるでしょう。
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