【需給俯瞰】27年産からフルイ目幅変更の波紋、賛否両論
農林水産省が3月31日、平成27年産の水稲収穫量調査から、フルイ目幅を変更する方針を明らかにしたのは既報(本紙4月1日付)の通り。これに対し、業界内外から賛否両論が湧き起こっている。
変更は、統計部「水稲の作柄に関する委員会」とりまとめを受けたもの。そもそも水稲収穫量調査には、実に昭和31年産から1.70㎜が採用されている。実際に「農家等が使用するフルイ目」がこれとは異なる(もっと大きい)ことから、いわゆる「実感作況」(公表作況と農家の実感が常に異なる現象)が指摘されていたものの、ありていに言えば60年弱の間、放置され続けてきた。それを見直そうというきっかけになったのが昨年、平成26年産だ。例年に比べフルイ下や「青死米等」の発生量が多いことが指摘されたのは周知の通り。「水稲の作柄に関する委員会」が4回の会合を経て、フルイ目を変更した場合の課題・影響と、これを踏まえた変更方針をとりまとめた。
変更点は、既報の通り、①加工用米などを含めた総体の収穫量調査には現行通り1.70㎜を採用するが、主食用米に限っては、1.70㎜と併行して、北海道、東北、北陸が1.85㎜、関東・東山、東海、近畿、中国、九州が1.80㎜、四国、沖縄が1.75㎜を採用する。各地で実際に採用しているフルイ目幅のうち、過去5年平均の上から数えて9割を占める幅を採用する。加えて、②同時に平年単収(10aあたり収量)も、過去5か年平均の実際のフルイ目幅の上から数えて9割を占めるフルイ目幅の重量割合を、現行1.70㎜単収に掛け算して算出する。③「青死米等」の扱いは、「当面の間」現行通り(青死米等を収穫量から除外しない)だが、27年産以降、穀粒分析器による品位分析結果を参考情報として公表する。さらに④実感作況の是正に向けて、あくまで標本調査の平均にすぎない単収の分布状況を新たに情報提供する。
「水稲の作柄に関する委員会」が指摘した課題・影響のうち、品位(青死米等)については、「現行通り」とした以上、回避できる。フルイ目幅のほうは、変更する以上、当然、影響もするのだが、「現行1.70㎜の公表と併行して」変更のため、これまた回避できるという考え方に立っている。ただしスプライン関数を用いている現行の平年単収算定のためには、最低でも14年分のデータの蓄積が必要なため、今回は便宜上、農家が使用するフルイ目幅の重量割合を掛け算する方式を採用した。14年分たまったところで算定方式の変更を検討することにしている。
詳細は本紙をご覧ください。