【米穀VIEW895】業界展望/需給と相場 105

全農は14日、平成27年産の概算金設定にあたって、「全国本部本所が試算の考え方を統一的に示し、これを参考にしながら各県本部が設定する」方針を明らかにした。自民党が開いた農業基本政策検討PT(宮腰光寛座長=衆・富山2区)の席上、岩城晴哉常務(米穀事業担当)が述べたもの。岩城常務はまた、「米の安定取引研究会」報告書について「否定する気は全くない」とした上で、「5中3や3か年平均は、あくまで需給の安定が前提。望ましいとは思うが、まず27年産の場合、6~7月を目処に140万tの事前契約をとりまとめる目標にしている。その事前契約の交渉の際に、5中3や3か年平均も示す。ただし交渉なので、相手があってのこと。ダメと言われれば改めざるを得ない。この結果を踏まえて、本体の相対価格や概算金を試算し、その統一した考え方を各県に示す。この統一的な考え方については、まとまり次第、公表する」とも。さらにこれらと併行して、平成30年産に向けて「現行の委託販売方式を中心とした販売方式のあり方についても検討を開始する予定」としている。
この日の農基PT会合は、去る1月27日の会合に続き、昨年11月13日に自民党がとりまとめた「26年産米の価格下落への対応について」(翌日、具体策を農水省が決定)をめぐって、農水省に進捗度を報告させるのがもともとの趣旨。同時に全中(大西茂志常務)と全農を呼んでJA系統の取組み状況をヒアリングしたほか、先に「中長期米仲介市場」を発表した全米販(石原一郎常務)にもその趣旨を説明させた。このなかで農水省は、「米穀周年供給・需要拡大支援事業」の活用意向調査(表)を報告したほか、研究会報告書も説明し
たのだが、議員からあがった声は、ほぼ完全に概算金一色。
「農家のための仕組みのはずの概算金が価格をリードしてしまった。機能不全を起こしている」、「研究会報告書は示唆に富んだもの。5中3は是非やってほしい」といった共通の声が複数に及んだ。というのも自民党議員の脳裏には(実際そのような発言も複数あった)「対策を打たなければならなかったのは、26年産の概算金が低かったことが発端。27年産で同じことを繰り返されてはたまらない。全農は意気込みを示せ」との感覚がある。その急先鋒が誰あろう宮腰座長自身で、「全農が統一的に示す? そんなことは当たり前だ。そもそも系統経済事業改革を議論した際、全農への全国一本化を選択したのは、米があったればこそ。当たり前のことを今ようやく示し、それが今までできていなかったことのほうが問題。これでは不十分。さらにどう踏み込むのかの答を求めている」と切り込んだ。

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