【米穀VIEW915】先物はコメ需給に「著しい支障」を与えるか25
大阪堂島商品取引所(岡本安明理事長)によるコメ先物・試験上場の「2年延長」申請が、先延ばしになった。「コメ試験上場検証特別委員会」(委員長=茂野隆一筑波大教授)報告書とりまとめ(7月1日)を受けた取引所が、同日の理事会を経て8日の臨時総会に諮ったものの、「今このタイミングでこそ本上場を」との声も多く、全会一致に至らなかったもの。事態の収拾をはかるべく取引所側が「この場では決議せず、再び理事会・臨時総会を開いて決議する」ことを提案、了承された。しかし本紙の調べによると取引所は「2年延長」を申請する従来の旗を降ろすつもりはない模様。したがって今回の先延ばしは、「心証的に認可のハードルを上げてしまった」ものとみられる。
今回の事態に対し、ある識者は、取引所への同情の声をあげる。「体裁上、取引所の申請を受けて、監督官庁である農水省が認可を判断する–のではあるが、事前に農水省と取引所との間で根回しがなされていた、いることは確実。もちろん認可するかしないかは農水省の判断だが、少なくとも申請や認可のタイミングを話し合っていたことは間違いない。今回の一件で、そのスケジュールが変更を余儀なくされた。農水省でなくとも、あまり良い気持がしないのは確かだろう。結果的に認可のハードルが上がってしまったことになる。といって取引所側も、総会に出席する会員の意見を無視するわけにいかない。先延ばしは必然的な着地点だったのではないか。本上場を望む会員の声も分からなくはないが、結果的に不認可の憂き目に遭ってしまっては何もならない。厄介なことをしてくれた」。