【中食インタビュー】日本惣菜協会・藤木吉紀専務理事①

【中食インタビュー】日本惣菜協会・藤木吉紀専務理事①
9兆円超見込みの惣菜市場、カテゴリーの幅も拡がる
 
日本惣菜協会は、1977 年に創立、1979年農林水産省認可法人となって以来、惣菜産業のさまざまな課題に取り組んできた。業界団体としての調査、研究事業はもちろん、メーカーや卸などの生産・流通に携わる人材を対象にした「惣菜管理士」、店舗スタッフを対象とした「デリカアドバイザー」、食の基礎知識を習得したい人たちを対象とした「ホームミールマイスター」という、3つの教育事業を推進するほか、地域惣菜の伝承や、日本の惣菜製造技術を世界に広げていく等、役割の幅を深めている。さらに今年4月、外国人技能実習制度において「惣菜製造業」が新たに職種認定され、同協会が試験実施機関としての役割も果たすこととなった。惣菜市場と協会の現在の取組みについて、藤木吉紀専務理事(写真)に話を聞いた。
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–市場の動向について
先般、惣菜白書をまとめたが、2014 年の惣菜市場は9兆円を超える見込みだ。業態別ではCVsとsMがけん引した。百貨店は昨年厳しかったが、4月以降はインバウンド消費もあって客数が増え、堅調だと聞いている。CVs、sMも依然堅調で、今年も売上は最終的に前年を上回ると見ている。一方、為替の問題、原料等の高騰によるコスト高がある上、業態間・業態内での競争が激化しており、利益面ではなかなか厳しくなっている。もちろん工夫して高収益を上げているところもあるが、全体として中身は厳しい状況だ。現在、イートインや宅配が増えている動きもあり、今後も惣菜市場は、販売形態や売場を広げながら拡大していくだろう。
現在の惣菜の特長として、カテゴリーの範囲が広がってきていることが挙げられる。もともとはおかず中心だったが、米飯、調理麺、調理パンと社会のニーズに対応してカテゴリーが拡大している。従来の惣菜製造業は食事を提供する産業だったが、幅が広がる中で加工食品に近づいてきたという声もある。とりわけ他業態から参入する方々は広い範囲で惣菜を捉え、今後もそうした方向で動いていくように感じる。また、小売、流通、メーカーの各層でも微妙に惣菜のとらえ方が異なる。
惣菜が加工食品に近づく大きな引き金となったのが「袋物惣菜」だろう。もともとレトルト食品があったが、技術革新により、鮮度感を持ち美味しく、かつある程度日持ちして使いやすいのが特長だ。これが多くの消費者、特に単身世帯の方々に多く使われるようになった。当初はCVsを中心に展開してきたが、今はsM、または百貨店でも低温殺菌の技術を使った商品も出てきている。さらに、利便性、美味しさに対する満足度に加えて、廃棄ロスの削減にもつながっている。ただ、この分野も競争が激しくなってきている。従来の日持ちしない惣菜と違って、加工食品メーカーが自社の持つ技術を使って参入するケースが増えている。
 

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