日清食品チルド18年度秋冬新商品発表会、「世帯数の変化を捉える」

日清食品チルド・伊地知稔彦社長
日清食品チルド(株)(伊地知稔彦社長)は2日、2018年度秋冬新製品発表会を開いた。主力ブランドでの新商品・リニューアル品発売に加え、1食タイプの拡充や、アルミ鍋の鍋焼うどんの「どん兵衛」ブランドからの発売等を発表。「世帯数の変化に合わせたマーケティングが必要」との考えを示した。
「どん兵衛」ブランドのアルミ鍋の鍋焼うどん

「どん兵衛」ブランドのアルミ鍋の鍋焼うどん

〈伊地知稔彦社長〉
4~7月のおおよその概況をみると、市場は食数(0.3%減)、金額(1.1%減)とも微減。前々からお話ししているが、人口が減少し世帯数が変化している。その中、3食の市場はダウン傾向が続き、2食はキープ、1食が右肩上がりとなっている。

3食はボリュームゾーンのうどん、ラーメン、焼そばが減少しており、特に焼そばの減少が大きい。2食ではうどん、ラーメン、焼そばが拡大しており、焼そばの拡大が顕著だ。1食は全般に延びていて、中でもラーメンの伸びが大きい。1食は成長分野だ。

直近の市場動向は4月が良かったが、5月、6月は前年割れ、7月は前年を超えた。冷やし中華は4~7月全てで前年をクリアしており、焼そばが市場全体よりも悪い傾向にある。当社の4~7月の販売実績はトータルで1%増。うち、ラーメン1%増、冷やし中華2%増、焼そば6%増、和物5%減となった。好調なブランドは「フライパンひとつでシリーズ」、「一人前 行列のできる店のラーメン」、「日清のざるつけ麺」、「つけ麺の達人」、「まぜ麺の匠」、「日清の太麺焼そば」。特に焼そばは「大盛り」の投入もあり大きく伸びた。

「フライパンひとつでシリーズ」は「野菜コンセプト」に簡便調理という要素が加わり主婦の支持を受けた。若年層は「野菜不足」の認識が高い。

「一人前 行列のできる店のラーメン」は昨年の秋に参入した。今年の春夏でも追加アイテムを投入し、成長分野として進めている。購入者層を見ると、単身世帯と成人した子あり世帯の割合が高く、今までのチルド麺とは違う形で消費されている。

「日清のざるつけ麺」は「無化調」(化学調味料不使用)のコンセプトが受け入れられ、販売店率が上がっている。2017年春夏の販売店率を100%とすると、今期は118%まで伸びた。

「日清の太麺焼そば」は基幹商品3品に加え、麺重量1.5倍の大盛りタイプを投入。大盛りタイプは食べ応えがあり、30~40代の若い世代に支持された。

「つけ麺の達人」は2~3月の増量キャンペーンで再認知が進み、今期もその効果が残っている。「まぜ麺の匠」はたれを具入りにするリニューアルにより、リピート率が大きく上がった。

引きつづき簡便さの追求と、小食商品に取り組んでいく。3食から2食に、2食から1食にという流れの中で、将来を見据えた取り組みが必要。2018年現在、単身世帯が35%、2人世帯(夫婦20%、1人親1人子10%)が30%と、2人以下の構成人数の世帯が65%になっている。人口は減少しているが、世帯数は増えている。そこに合わせたマーケティングを今後はやっていなければならない。この秋冬の新商品でも2食のプレミアムタイプの商品と、新しい1食の商品を深掘りしていく。

〈延安良夫マーケティング部課長〉
チルド麺市場でファミリーユーザーが減少していくが、これは脅威でもあるが逆にチャンスとも考えている。チルド麺は本格的で美味しいというイメージがあり、大きな強みがある。逆に調理が煩雑であったり、具材が必要、日持ちしないという弱みがある。今期も弱みの克服と強みの強化をテーマに商品開発を進める。

〈米麦日報 2018年8月3日付より〉