「トーストアート」や「ママレード煮」に注目集まる、ジャム各社の新提案
ジャムを朝食以外でも食べて欲しい――。ジャムメーカー各社が、パンやヨーグルトといった朝食以外の食シーン創出に向け注力してきた施策が、ここにきて料理用途で実を結びつつある。一方、SNS映えを意識したジャムで描くトーストアートが密かな人気を集めており、これまでジャムを食べなかった若年層の需要をつかんだ。食シーンの拡大、若年層の需要拡大が、縮小傾向で推移するジャム市場の底上げにつながるか注目を集めている。
〈高級食パンブームも手伝いパン市場は堅調〉
高級食パンブームも手伝ってパン市場自体は堅調に推移しているものの、食パンの相棒であるジャムの売り上げは、近年芳しくはない。朝食欠食率の増加や健康志向を背景とする消費者の甘さ(砂糖)離れが市場縮小の要因だが、ここにきて朝食以外の提案として料理用途での利用が注目を集め始めている。
〈手羽元のオレンジママレード煮が注目、調味料の用途で売上拡大〉
昨年、前期比6%増と単品で大きく売り上げを伸ばしたのは、ジャムメーカートップのアヲハタが発売する「55ジャム オレンジママレード」。鶏の手羽元にオレンジママレード1瓶と醤油を加えるだけで出来上がる煮込み料理がテレビ番組で放映されたところ大きく伸びた。ジャムを砂糖替わりに使用することで、料理に照りやコクを加え、肉を柔らかくする効果がある。ジャムを調味料として活用した斬新かつ簡単なメニュー提案は、消費者の購買意欲をかきたて、売上拡大につながったという。
手羽元のオレンジ&ジンジャー煮
かねてから朝食に加え料理用途での利用を訴求してきたアヲハタは、確実な成果を上げたことから今春の新商品でも料理用途を意識した商品の拡充を進めた。
パンはもちろん肉料理にも最適なしょうが香る「55ジャム オレンジ&ジンジャー」と、パンやヨーグルトだけでなく炭酸水で割ることでドリンクメニューにも使える「55ジャム 白桃&グァバ(グレープフルーツ入り)」の2品。また、今期の販促施策では、フルーツスプレッド「まるごと果実」をフルーツの代替としてパワーサラダに添えるなど、既存商品を含め、朝食以外の提案を積極的に打ち出した。
ジャムの料理用途での提案は、各社ともホームページや店頭販促で既に実施してきており、「オレンジママレード」をきっかけに浸透するか関心が高まる。
〈“トーストアート”は20代女性中心に人気獲得〉
手軽な朝食としてパン食を支持するのは、ファミリー層やシニア層。ジャム市場を支えるのも彼らだがその一方、今後の市場拡大に当たっては、若年層を狙った施策も重要となる。こうした中、食パンブームを背景に盛り上がりを見せているのが、パンにジャムやスプレッドで絵を描くトーストアートで、SNSに映える見た目のかわいらしさが20代女性を中心に人気を集めている。
中でも波模様を描いた韓国カフェ発の“ウェーブトースト”は、クリームチーズとジャムだけで誰でも簡単に作れることから挑戦しやすい食パンアレンジだ。ソントンではクリームチーズをスプレッドに替え、インスタグラムで提案しており、トレンドのトーストアートが、若年層のジャムやスプレッドの購入動機拡大につながるか注目されている。