全国はくばく会・第58回総会、12年ぶり名古屋で開催 「米の消費拡大に麦・雑穀の活用を」
開会の挨拶に立った高山米穀協業組合の桑谷康弘理事長は、「新たな時代、令和最初のはくばく会総会。4月1日に菅官房長官が額を掲げて発表した。あの書を書いたのが飛騨出身の茂住修身さん。私の出た学校の先輩でもある。また、静岡の伊勢神宮に八咫鏡、愛知の熱田神宮には草薙の剣と三種の神器があり、東海3県は全て令和に縁が深いと感じている。令和最初のはくばく会を東海で開催。やはりはくばくは“持っている”と思う」と述べた。
豊田会長は、「はくばくは目標に掲げた200億円の売り上げを達成。その一方、はくばく会の2018年度実績は、前期比で92%だった。我々ははくばくと昔から一緒になって仕事をしてきて、先輩たちは『はくばくを助けてやってきた』という感覚もあるだろう。今ははくばくは大きくなって、我々は小さくなっている。これは、まだ互いに歩み寄るところがあるのでは。人口も減っている中、米だ麦だ雑穀だと言わずに、我々の取り扱っている商品をどう口に運んでもらうか。一歩前にでたり、一歩下がったりではなく、同じ立ち位置に立って進んでいきたい。今日は業務用への展開やもち麦の売り方の話をいただけると思っている」と主催者を代表して挨拶した。
はくばくの長澤社長は「豊田会長からお言葉があったが、我々も米の厳しさを肌で感じている。私なりに米の消費拡大を考えているが、具体的なものはなかなか難しい。先日、食品産業新聞社の『米と平成』の取材を受けて、そこでも少し話したのだが、米は穀物の中で一番美味しい。小麦も美味しいが、油脂などで美味しさを足している。米は水で炊くだけで心の底から美味しい。長年、『美味しくない』と言われる大麦を取り扱う当社はうらやましく思っていた。しかし、美味しすぎて食べ過ぎると、血糖値が上がると、私はウソだと思っているが太ると、そういうイメージで米を我慢している人がいるのをもったいないと思っている。大麦・雑穀が売れると米が売れないという考えもあったが、今となっては大麦・雑穀は健康面の米の弱点を補うパートナー。是非、はくばく商品を使って米の消費拡大につなげていただきたい」と返した。
来賓の全米販・木村良理事長は、「先ほど、長澤社長からあった『米と平成』の話が私にもあった。手元に届いて読んだが、他の方の話は楽しく読んで、自分のはおもしろくないだろうと思って読んでいない。一番面白いのは巻末の30年間の年表。平成元年にはまだ米価審議会があり、消費者米価、生産者米価があった。それから自主流通米価格形成の場へ進む。平成5年には大凶作があり、緊急輸入があり、GATTで米輸入の部分開放が始まる。戦後の米政策の転換点ともなった。平成元年には米の生産量が1,000万tとかあったが、平成30年にはみなさんご存じの通り730万t、4分の3になった。5kg精米の価格は4,898円が2,451円と半分に下がった。長澤社長は米が美味しすぎるという。世界的に見ても米の中で日本の米は美味しいと思う。ただ、価格や貿易上の問題、東北の震災後のいろんな現象の影響で、輸出は閉ざされている。先日、全米販の総会の講演で、元京セラ(株)会長の稲盛和夫氏の右腕である大田嘉仁氏から、『お米、素晴らしいじゃないですか。お米は皆が食べます。もっと自信を持って』と、要はソウルフードである米をもっと自信を持って売れと励ましの声をもらった。美味しくてソウルフードの米が減少してきたというのは、我々が努力を怠ってきたということかもしれない。これから先を考えて、米と健康とか、業務用への対応など、消費拡大に向けて進んでいきたい」とした。
はくばく会の2018年度販売実績は8億8,100万円(前期比8%減)、うち麦3億6,500万円・雑穀1億1,000万円・豊熟麺1億8,900万円・霧しな8,200万円・半生麺9,400万円・その他(一般乾麺など)2,500万円。全てのカテゴリーで前年実績をクリアできなかった。
〈米麦日報 2019年7月1日付〉