農水省 大阪堂島商品取引所のコメ先物4度目延長申請を事実上「認可」、自民党「最後通告」
農水省はこの日の自民党会合に、「米先物取引の試験上場の申請」と題するペーパーを提出。このなかで、試験上場申請に対して、商品先物取引法に明記されている認可基準に「適合している」と結論づけ、事実上、試験上場申請を「認可」する方針であることを明らかにした。これに対し自民党側は、〈1〉この日の会合のメイン議題が来年度予算案の概算要求で、そちらに時間をとられたこと、〈2〉今国会の会期末である衆院本会議の時間が迫っていたことから、質疑皆無で終了。その上で、以下の申入れ案を決議した。
1.今回の試験上場の申請に対しては、法律の要件に照らして厳正に判断すること。
2.仮に認可する場合には、
(1)試験上場期間中に、平成年産からの行政による生産数量目標の配分の廃止の影響を見定め、これ以上の延長は試験上場制度の趣旨に沿わないことから行わないこと。
(2)常時、市場の監視及び監督を行うとともに、異常な価格変動が生じ、生産及び流通へ著しい支障を及ぼすおそれがある場合には、取引の制限等の措置を適時適切に講ずること。
このうち「1.今回の試験上場の申請に対しては、法律の要件に照らして厳正に判断すること」は当然として、「2.仮に認可する場合には」の「(2) 常時、市場の監視及び監督を行うとともに、異常な価格変動が生じ、生産及び流通へ著しい支障を及ぼすおそれがある場合には、取引の制限等の措置を適時適切に講ずること」は2015年(平成27年)、2017年(平成29年)の申入れにも同様の趣旨の文言があった。問題は「2」の「(1) 試験上場期間中に、平成30年産からの行政による生産数量目標の配分の廃止の影響を見定め、これ以上の延長は試験上場制度の趣旨に沿わないことから行わないこと」で、この箇所が「今までにない書きぶり」と指摘した野村哲郎農林部会長(参・鹿児島)、返す刀で「つまり、これが最後通告ということだ」と“解説”。その上で、「塩川さん、そういうことでいいですね」との問いかけに、農水省・食料産業局の塩川白良局長は、無言で頭を下げる仕草で応じている。
なお農水省は、この日提出したペーパーのなかで、本上場申請を「不認可」とした理由として「十分な取引量が見込まれない」こと“だけ”をあげている。この場合の取引量とは1日あたり出来高(枚数)のことで、第1期(2011年8月8日~2013年8月7日)958枚、第2期(2013年8月8日~2015年8月7日)1,149枚、第3期(2015年8月8日~2017年8月7日)1,548枚、第4期(2017年8月8日~2019年6月30日)885枚――を指摘した。「参考」として掲げた重量換算でも、第1期3,791t、第2期7,308t、第3期1万283t、第4期3,173tと同様な傾向のため、この点では反論しようがない。ただし、もう一つの認可基準である「生産・流通を円滑にするために必要かつ適当」の箇所については、〈1〉数こそ小さいが生産者の取引参加者数は増加傾向にある、〈2〉先物価格は現物価格とそう大きく乖離していない――ことから、「問題なし」としている。
〈米麦日報 2019年8月6日付〉