ヤマタネ、通期も増収減益の見込みも「今は仕込みの時期、着実に投資する」/2020年3月期第2四半期決算説明会

(株)ヤマタネ(山﨑元裕社長)は11月14日、都内で「2020年(令和2年)3月期第2四半期決算説明会」を開いた。

このなかで山﨑社長は、2020年3月期が第2四半期、通期ともに増収減益で着地する見込みである一方、「ヤマタネ2022プラン」で2022年3月期目標に売上高640億円(2019年3月期比およそ100億円増収)、営業利益42億円(同およそ11億円減益)、投資総額300億円を掲げている点に触れ、「特に不動産部門で、例えば建替案件の期間中は、既存物件の閉鎖に伴う収入減により一時的に減益となるのはやむを得ない。完成後には着実にキャッシュフローが増加し、100周年以降の成長に寄与することになる。今は、“仕込み”の真っ最中の時期。物件やシステムへの投資は着実にやっていく」とした上で、「“裏メニュー”ではないが、最注力しているのは『人づくり』。次世代幹部や現業を日々担っている若手社員。100年を迎える企業ながら平均年齢が30代に落ちて来たところ。これまで戴いて来た信用をさらに磨きながら、新しくて柔らかい発想をもって進んでいこうと思っている」とも。

〈2020年3月期第2四半期決算〉
売上高は、物流と食品(米)部門で増収、情報と不動産部門で減収、総体の連結では増収となった。ところが営業利益は、情報部門を除く全部門で減益、総体の連結でも減益となった。このうち食品部門では、「顧客ニーズに対応した商品提供による精米・玄米の販売数量の増加」(数量ベース10.9%増の5.0万玄米t)により増収となったが、「価格競争の激化による差益の縮小と配送コストの上昇」により減益となった。総体連結で、経常利益も最終益(四半期純利益)も減益となったのは、不動産部門で前期に実施した販売用不動産の売却益(13.64億円)が今期はなかったことが最も大きな要因。
 
〈2020年3月期決算見通し〉

売上高は、不動産部門を除く全部門で増収の見込み。営業利益は食品部門を除く全部門で減益の見込み。このうち食品部門では、「精米は主要量販店のシェア拡大と新規獲得による販売増、玄米は上期の販売増が大きく寄与し」増収の見込みで、「販売数量増により差益率の縮小を補い」増益の見込み。総体の連結でも、増収減益の見込みで、経常利益も最終益も減益の見込み。不動産部門で前期に実施した販売用不動産の売却益が今期はないことが、通期にも影響する恰好だ。

〈中期経営計画の進捗〉
2020年3月期は、創業100周年「ヤマタネ2024ビジョン」に向けた3か年ごとの中期経営計画の第2弾「ヤマタネ2022プラン」の初年度にあたる。このうち食品部門の重点施策は3点あり、その進捗を以下の通り明らかにした。

〈1〉提案営業によるシェア拡大と新規顧客の開拓=数量積み上げにより既存のシェアは拡大中。新規顧客へは継続して提案折衝中。

〈2〉産地協働事業の拡大による調達先との関係強化=令和2年産米の取扱数量増に向けて新規・既存先へ折衝開始予定。「今は萌えみのり・あきだわらをメインに、もう何年も前から取り組んでいる。主な相手先は単協になるが、複数年契約というより長く一緒にやっていこうよという取組み。令和2年産の数量増と申し上げたが、実は種(籾)はもう確保してある。ここからは生産者の数、面積を広げていく作業」(山﨑社長)。

〈3〉印西新工場稼働による生産性・品質の向上=千葉県印西市つくりや台の11万5,080平方メートルの敷地にアーカイブズ専用倉庫・3温度帯倉庫・精米工場の一体型施設(総延床面積6万7,000平方メートル=2万300坪)を建設する計画。

2021年(令和3年)にまず印西アーカイブズ営業所を開設、次に印西精米工場を開設、翌2022年(令和4年)に3温度帯倉庫を開設するスケジュール感で、このうち精米工場では、「稼働に向けて運用面の検討を継続中」と報告した。また「ざっくり年7万t能力のイメージ」(同)と明らかにしている。

〈米麦日報 2019年11月15日付〉