〈総会〉大阪堂島商品取引所、全役員を再選
2019年度(令和元年度)業務報告によると、取引高は前期比21.0%増の28万2,931枚となったものの、「それぞれの課題対応に向けた諸経費増等もあり」、当期損失金2億8,497万750円(前期は4,308万488円の当期損失金)を計上した。前期繰越損失金およそ2億3,503万円、脱退会員持分返付金139万円と合わせ、約5億2,139万円を次期繰越損失金としている。2019年度の実施事項は以下の通り。
◆コメ先物の浸透・定着に向けた取り組み
近年の米穀の生産調整政策転換による生産現場の変化や自然災害の頻発といった不透明な米価をめぐる環境要因に対し、特に需給を反映した価格形成機能に焦点をあて、産業インフラとしてのコメ先物取引の必要性を広く関係者に理解いただき、併せて具体的な活用方法について啓発することを目的とした各種セミナー、勉強会を随時開催するとともにWebサイト、メルマガを通じた価格情報を中心とする情報提供を展開。
◆新たな取引の開始に向けた準備
米穀においては、生産者を中心とした関係者の先物市場に関するニーズを踏まえた第3の特定産地品種銘柄取引としての「宮城ひとめ18」、活性化に向けミニ化した「秋田こまち17」について、また、とうもろこしについても商品先物取引法の枠組みでの取引環境を提供する視点から、再生に向けた制度改善をはかる「とうもろこし50」について、それぞれ取引開始の準備を整えた。
◆経営改革の着手
国内商品市場における健全な競争力を発揮するために新たな取引所像を示す中期経営計画を取りまとめるとともに、なかでも重要な課題である強靭な財務基盤構築に向けた株式会社化について、課題整理とその対応について積極的に取り組み、早期実現に向けての準備をすすめた。併せて、経営改革の基本指針や将来戦略について、従来にない視点からの意見集約をはかるため、外部識者を中心とする「経営改革協議会」を設置した。
◆デリバティブ普及への外部との連携
商品先物取引に関する大学寄附講座、社会人に向けた特別講座を引き続き開設するとともに、コメ先物の啓発を目的とする書籍出版や本所受渡供用銘柄を対象とする会員によるインターネット通販の協力支援を行った。
〈米麦日報2020年6月2日付〉