日清食品HD「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」発表、企業が地球環境の問題に取り組むのは当たり前に

「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」
日清食品ホールディングス(株)(安藤宏基CEO)は6月9日、日清食品グループ環境戦略「EARTHFOOD CHALLENGE 2030」記者発表会を開いた。「Teams」によるオンライン会議形式で実施。30名超の記者が参加した。「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は持続的な調達や資源の節約を行う「資源有効活用へのチャレンジ(EARTHMATERIAL CHALLENGE)」と、CO2削減に取り組む「気候変動問題へのチャレンジ(GREEN FOODCHALLENGE)」からなる環境戦略だ。

それぞれ、チャレンジには3つの活動テーマがある。冒頭、安藤CEOは「こうしたバーチャルの会議は5月の株主報告会でも実施した。今後はこれが当たり前になってくると思う。環境問題については昨年から色々なことに取り組んでおり、今回の環境戦略も2月に発表したかった。ただ、COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)の影響で中断せざるを得なかった。しかし、環境問題はもっと長期に積極的に取り組んでいくもの。地球の未来のために方向をつくり、進めていく。企業が地球環境の問題に取り組むのは当たり前になってきたと思っている」とした。

また、「COVID-19の影響があるが、当社は有事に強くレジリエンス(弾力性、強靱性)が高い企業。巣ごもりの家庭内消費に向けて商品供給をしてきたが、6月はだいたい平時に近づいてきた」とも。

【EARTH FOOD CHALLENGE 2030】
〈資源有効活用へのチャレンジ〉

2030年度までに△持続可能なパーム油調達比率100%△水資源の使用水準12.3立方メートル/100万円(国際会計基準IFRSベース売上高)△廃棄物再資源化率99.5%、廃棄物総量50%削減(2015年度比)を目指す。

〈1〉地球にやさしい調達
森林破壊の防止、 生物多様性の保全、農園労働者の人権に配慮された持続可能なパーム油の調達を進める。2020年3月時点で、グループ全体の「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)」認証パーム油の調達比率は約20%。「RSPO認証パーム油」の調達に加え、「独自アセスメントにより持続可能であると判断できるパーム油」のみの調達を目指す。

〈2〉地球資源の節約
グループ全体で、売上高100万円(IFRS ベース)あたりの水使用量を12.3立方メートルに維持する。「既に食品産業では少ない」(同社)。

〈3〉ごみの無い地球
日本国内の製造過程の廃棄物再資源化率99.5%、販売・流通過程での廃棄物総量50%削減を目指す。現在の製造過程の廃棄物再資源化率は99.5%で、これを維持していく考え。流通・販売段階の廃棄物削減に向けては、参加している「10×20×30食品廃棄物削減 イニシアティブ」の日本プロジェクト等を通して実現していく考えだ。

〈気候変動問題へのチャレンジ〉
2030年までに温室効果ガスの削減に取り組む。「Scope1+2」(主に自社での化石燃料の使用によって排出される温室効果ガス・直接排出+主に自社が購入した電気や蒸気の使用によって排出される温室効果ガス・間接排出)は30%削減、「Scope 3」(主に自社のバリューチェーン《原料調達、輸送、廃棄など》で排出される温室効果ガス)は15%減を目指す。

〈4〉グリーンな電力で作る
ごみ焼却に伴うエネルギーを用いた「ごみ発電電力」を使用し、資源の有効活用につなげる考え。既に同社の東京本社使用電力の50%は「ごみ発電電力」による。また、工場での省エネ活動や、太陽光パネルなどで発電された再生可能エネルギーの調達を推進する。

〈5〉グリーンな食材で作る
独自開発の大豆ミートなど、環境負荷の高い畜産業由来の食材の代わりとなる植物代替肉の活用を進める。同社によると、大豆ミートのCO2排出量を1.0とすると、鶏肉1.7、豚肉2.8、牛肉12.0だという。また、「培養肉」の研究も継続。培養肉の製造は牛肉の生産と比べて、利用する水資源を82~98%、CO2排出量を78~96%、利用する土地を90%――削減できるという。

〈6〉 グリーンな包材で届ける
カップヌードルブランド製品の容器を2021年度中に「バイオマスECOカップ」に全面切り替えする。

また、同社の温室効果排出削減目標は、温室効果ガス排出削減目標は、「パリ協定」が目指す、「世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べ2℃を十分に下回る水準に抑える科学的な根拠に基づいた目標」として、「Science BasedTargets(SBT)イニシアチブ」から認定を受けた(4月9日付)。

〈米麦日報2020年6月10日付〉